裏側矯正とは?メリット・デメリット、表側矯正との違いを解説

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Index目次

裏側矯正(リンガル矯正)とは

裏側矯正(リンガル矯正)は、歯の裏側に矯正装置を取り付ける一般的な矯正治療の一つです。

裏側矯正の良い点は、他人に装置が見えないことです。そのため、審美性を重視しつつ、歯並びの改善を図る有効な選択肢となります。

以下では、裏側矯正の基本的な考え方と、表側矯正との違いについて解説しましょう。

裏側矯正の基本

裏側矯正は、歯の裏側にブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯に力を加えることで、歯を正しい位置に動かします。患者ごとにカスタマイズされた装置を使用し、効率的に歯を動かすことが可能です。

一般的な表側矯正と異なり、外からは装置が見えないため、表側矯正と比較して、治療中の見た目を気にせずに生活できる点が大きな特徴です。

裏側矯正の場合、唾液が歯の裏側に常に循環するため、虫歯菌の増殖を抑えることができます。また、装置が舌側にあるため、舌癖を抑制する効果も期待できます。

また、患者ごとにカスタマイズされた装置を使用するため、歯に対して適切な力を効率よくかけることができます。

表側矯正との違い

表側矯正との違い

裏側矯正と表側矯正の大きな違いは、装置の装着位置です。

表側矯正は歯の表面に装置をつけるため、治療の進行がわかりやすい一方で、見た目の影響が避けられません。

一方、裏側矯正は見た目を気にする必要がなく、審美的な問題を気にすることなく治療が可能です。装置が舌に触れるため、初めは違和感を感じることがありますが、通常は数週間で慣れることが多いです。

ただし、発音に影響が出ることもあり、特に日本語の「さ行」や「た行」の発音が不明瞭になることがあります。

裏側矯正のメリット

裏側矯正にはさまざまな利点があります。以下に具体的なメリットを挙げ、それぞれを詳しく解説します。

装置が見えないため利便性が高い

繰り返しになりますが、裏側矯正の最大の特徴は、装置が他人から見えないことです。このため、人前に立つ機会が多い方や外見を重視する職業の方にとって特に適しています。

また、重要なイベントや写真撮影などの際にも安心して参加できます。

虫歯になりにくい

歯の裏側は唾液の循環が良いため、表側矯正と比べてプラークがたまりにくいと言われています。そのため、虫歯のリスクを軽減できる可能性があります。

ただし、日々の口腔ケアが重要である点は変わりません。

多様な職業に適している

裏側矯正は、スポーツ中の怪我を防ぐ点でも有利です。特にコンタクトスポーツでは、装置が唇や頬に接触しないため安全性が高まります。

また、接客業や営業職など外見が重要な職業の方にも広く支持されています。

大人になってからの矯正も可能

大人になってから矯正を始める方にとって、裏側矯正は非常に魅力的な選択肢です。

見た目を気にする必要がないため、仕事や日常生活に支障をきたさずに治療を進めることができます。

裏側矯正のデメリット

一方で、裏側矯正にはいくつかのデメリットもあります。以下に主要な課題を挙げ、その詳細を解説します。

舌への違和感や発音への影響

裏側矯正の装置は舌に近い位置にあるため、装着初期に違和感を覚えるかもしれません。

また、発音が一時的に変わることがありますが、多くの場合は数週間で慣れるでしょう。

費用が高くなる傾向

裏側矯正は技術的に難易度が高く、装置のカスタマイズが必要なため、一般的に表側矯正よりも費用が高額になります。

ただし、治療中、治療後の満足度を考慮すると、多くの患者さんにとって価値のある投資といえるでしょう。

治療日数がやや長くなることも

裏側矯正では、表側矯正よりも治療に時間がかかる場合があります。裏側矯正と表側矯正では装置の装着位置が異なるため、歯にかかる力の調整が必要になるからです。

ただし、矯正医の技術や患者の協力次第でスムーズに進むケースもあります。

裏側矯正の治療の流れ

裏側矯正の治療は、いくつかのステップを経て進行します。以下に一般的な流れを紹介します。

初診相談と診断

まずは矯正医との相談から始まります。歯並びや噛み合わせの状態を確認し、適切な治療かどうかを診断します。

この段階で、患者の希望や治療のゴールを明確にします。

矯正装置の装着

診断結果に基づいてカスタマイズされた装置が作製され、歯の裏側に装着されます。

装置の装着時には、ブラケットの位置やワイヤーのテンションを調整するため、歯科医師が患者の口腔内を詳細に観察し、個々の歯の形状や位置に基づいてカスタマイズされた装置を慎重に装着します。

定期的な調整と経過観察

治療中は定期的に通院し、装置の調整を行います。この作業により、歯が計画通りに動くよう管理されます。

また、治療中は、歯の動きや患者さんの感覚に基づいて、治療計画を見直し、必要に応じて装置の調整や新たな治療方法を提案します。

装置の撤去と保定期間

歯が理想的な位置に移動したら、装置を外します。その後、歯並びを安定させるために保定装置を使用します。

保定期間中は、定期的な通院を通じて歯並びの安定を確認し、必要に応じて保定装置の調整を行います。この期間のケアが、治療後の後戻りを防ぐために非常に重要です。

裏側矯正が適している人

裏側矯正は、特定のニーズを持つ患者さんに特に適しています。以下に代表的な例を挙げます。

矯正装置の見た目を気にする方

人前に立つことが多い職業の方や、外見を重視する方にとって、装置が見えない裏側矯正は理想的な選択です。

他人の視線を気にせずに治療を受けられるため、心理的なストレスが軽減され、安心して治療に取り組むことができます。

虫歯リスクを抑えたい方

虫歯のリスクを最小限にしたいと考える方にも適しています。

虫歯のリスクを最小限に抑えたいと考える方には、裏側矯正が適している場合があります。ただし、裏側矯正装置は歯磨きが難しくなることがあるため、十分な口腔衛生管理が必要です。

裏側矯正の費用と治療期間

裏側矯正にかかる費用や治療期間について、一般的な目安を以下に紹介します。

費用の目安

裏側矯正の費用は、通常の表側矯正よりも高額になることが多いです。

裏側矯正の費用は、治療の難易度や使用する装置の種類によって異なりますが、一般的には100万〜150万円程度です。それに対して、表側矯正は80万〜100万円程度であることが多いです。

治療期間の目安

治療期間は患者の歯並びの状態によりますが、通常は2–3年程度です。ただし、症例によっては、治療の複雑さや患者の協力に応じて、1年半から4年程度の幅があることもあります。

矯正医と相談しながら計画を立てることが重要です。

裏側矯正の注意点

治療を成功させるためには、いくつかの注意点を押さえる必要があります。

技術と経験のある矯正医に診てもらう

裏側矯正は高度な技術を必要とする治療法です。そのため、経験豊富な矯正医に診てもらうことが重要です。

事前に矯正医のホームページで治療実績や患者さんのレビューを確認し、専門性や信頼性を評価することが推奨されます。

日々の口腔ケア

矯正中は口腔ケアが特に重要です。専用の歯ブラシやフロスを使用し、歯と装置の隙間に汚れがたまらないようにする必要があります。

また、矯正中は、少なくとも3ヶ月ごとに歯科検診を受けることが推奨されます。

装置に違和感がある期間

装置装着後の違和感には個人差がありますが、時間とともに慣れることがほとんどです。

最初の数週間は無理をせず、柔らかい食事(例:スープ、ヨーグルト、煮込み料理など)を心がけると良いでしょう。

まとめ

裏側矯正は、見た目を気にせずに歯並びを改善できる治療法です。

メリットとデメリットを理解した上で、自分に最適な選択をすることが大切です。経験豊富な矯正医と相談し、安心して治療を進めてください。