初期虫歯は削らず治せる?見逃しやすいサインと正しい対処法を解説

虫歯は初期段階であれば、削らずに治せる可能性があります。再石灰化によって自然に歯が修復されることもあるため、早期発見と適切なケアが非常に重要です。
ただし、初期虫歯は痛みがないケースが多く、自分では気づきにくいのが現実です。そのため、見逃して進行させてしまい、結果的に削ったり抜いたりといった重度の治療が必要になることもあります。
この記事では、初期虫歯の見逃しやすいサインや削らずに治す方法、予防に役立つ生活習慣についてわかりやすく解説します。虫歯の予防や早期対処を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
虫歯の初期症状とは?特徴を紹介
初期の虫歯は痛みが少ないため、自覚しにくいケースが多くあります。放置すると症状が進行し、治療が複雑になることもあるため注意が必要です。
以下のようなサインを見逃さないようにしましょう。
- 歯の表面が白く濁る
- 食べ物やフロスが引っかかる感覚がある
- 舌で触るとザラつきを感じる
- 歯の色が一部だけ変わっている
それぞれのサインについて、詳しく解説します。
歯の表面が白く濁る
初期虫歯のサインの一つが「白濁」や「ホワイトスポット」と呼ばれる白い斑点です。歯の表面のエナメル質が酸によって溶け始める「脱灰」によって起こります。
健康な歯は光沢がありますが、脱灰が進むと表面の光の屈折率が変わり、白く濁って見えるのです。とくに前歯の歯と歯ぐきの境目が目立ちやすく、話すときや笑ったときに気づくことがあります。
ただし、白濁の原因は必ずしも虫歯とは限りません。エナメル質形成不全症やフッ素の過剰摂取によっても同様の症状が現れる場合があります。
食べ物やフロスが引っかかる感覚がある
フロスや糸ようじが歯の間で引っかかる場合、初期虫歯の可能性があります。虫歯によって歯の形状や表面が変化すると、食べ物が詰まりやすくなったり、フロスが通りにくくなったりします。
たとえば、毎回同じ歯にフロスが引っかかる、あるいは切れてしまう場合は、歯の表面に小さな欠けや虫歯の進行があるかもしれません。
また、歯石の蓄積や詰め物の不具合、歯並びの影響でも食べ物やフロスが引っかかることがあります。
食べ物やフロスが引っかかる原因は複数あるため、早めに歯科医院で確認してもらうことが大切です。
舌で触るとザラつきを感じる
舌で歯の表面をなぞったときに、ザラつきを感じたら初期虫歯の可能性があります。虫歯によってエナメル質が溶け始めると表面の滑らかさが失われ、舌で触れた際に違和感を覚えるようになります。
実際、虫歯の初期段階では痛みがないことが多いため、ザラザラした感覚が唯一のサインとなることも少なくありません。
また、プラークや歯石、歯の摩耗などもザラつきの原因となります。ザラつきを放置すると、虫歯や歯周病の進行につながるおそれがあるため、違和感に気づいたら早めに歯科医院を受診しましょう。
歯の色が一部だけ変わっている
歯の一部に変色が見られる場合、虫歯や神経の異常などの可能性があります。
変色の種類によって原因も治療法も異なるため、正確な診断が重要です。以下の表では、色の変化ごとに考えられる主な原因をまとめています。
色の変化 | 主な原因 |
---|---|
白濁(ホワイトスポット) | ・初期虫歯
・エナメル質形成不全 ・フッ素症 |
薄茶・灰色 | ・虫歯
・治療跡 ・レジン(詰め物)の劣化 |
黒ずみ(点・線) | ・虫歯の進行
・神経が死んだ歯(失活歯) |
茶色の着色 | ・飲食物(コーヒー・お茶など)
・喫煙(ヤニ) |
黄ばみ | ・加齢による変化
・エナメル質の薄化 |
黒褐色の沈着 | ・歯石(歯垢が石灰化したもの) |
上記のように部分的な歯の変色は、初期虫歯から全身疾患までさまざまな原因があります。
初期虫歯の治療方法
初期の虫歯は必ずしも歯を削って治療するとは限りません。適切な処置を行えば、再石灰化によって自然に修復されることもあります。
初期虫歯の治療方法は以下が代表的です。
- フッ素塗布で再石灰化を促す
- シーラントで虫歯の進行をブロックする
- 正しいブラッシング指導を受ける
- 食生活の改善で進行リスクを下げる
それぞれの治療法について、詳しく解説します。
フッ素塗布で再石灰化を促す
初期虫歯はまだ歯に穴があいていない状態のため、再石灰化によって自然に修復できる可能性があります。再石灰化を効率よく進めるために有効なのがフッ素塗布です。
フッ素には主に以下の3つの効果があります。
- 歯の表面を酸に強い構造に変える
- 歯から溶け出したカルシウムやリンの再沈着を助ける
- 虫歯菌の活動を弱め、酸の産生を抑える
たとえば「CO(要観察歯)」と診断された初期虫歯では、見た目に異常がなくても、エナメル質の内部ではミネラルが溶け出しています。
COの段階でフッ素を塗布すれば、唾液中のカルシウムやリンが歯に再沈着し、虫歯の進行を防ぐことが可能です。
シーラントで虫歯の進行をブロックする
シーラントは奥歯の溝をレジン(樹脂)で埋め、虫歯菌の侵入を物理的にブロックする方法です。
奥歯の噛む面には深い溝があり虫歯になりやすいため、溝を埋めて清掃性を高めることで、虫歯のリスクを大幅に減らせます。
また、シーラントにはフッ素を徐々に放出する性質があり、再石灰化を促進する効果も期待できます。
正しいブラッシング指導を受ける
予防歯科に力を入れている歯科医院では「TBI(Tooth Brushing Instruction)」と呼ばれるブラッシング指導を実施していることがあります。TBIは歯の染め出しで磨き残しを確認し、歯ブラシやフロスの正しい使い方を学ぶブラッシング指導です。
歯ブラシの角度や力加減、磨きにくい箇所へのアプローチ方法などを、鏡を見ながら自分の口の中で確認・練習できます。歯間ブラシやデンタルフロスの使い方も丁寧に指導されるため、磨き残しを減らしやすくなります。
食生活の改善で進行リスクを下げる
初期虫歯の進行を防ぐには、毎日の食生活を見直すことが非常に重要です。
虫歯菌は糖分をエネルギーにして酸を作り出し、歯のエナメル質を溶かしていきます。虫歯菌の栄養源である糖質を減らすことで、虫歯のリスクを大幅に下げられます。
以下は「虫歯になりやすい食べ物・飲み物」と「虫歯になりにくい食べ物・飲み物」の一覧です。
虫歯になりやすい食べ物・飲み物 | 虫歯になりにくい食べ物・飲み物 |
---|---|
・炭酸飲料(コーラなど)
・果汁100%ジュース ・スポーツドリンク ・乳酸菌飲料 ・お菓子・菓子パン ・砂糖入りのコーヒーや紅茶 |
・水、緑茶
・無糖の紅茶、麦茶 ・カルシウムを含む食品(牛乳、チーズ、豆腐など) ・ビタミンAを含む食品(かぼちゃ、ほうれん草など) ・ビタミンCを含む食品(キウイ、いちごなど) ・フッ素を含む食品(りんご、味噌、いわしなど) ・キシリトール入りのガム |
とくに甘い飲み物や間食の頻度が多い方は、虫歯リスクが高まる傾向にあります。
初期虫歯を予防・改善するための生活習慣
初期虫歯は治療できても、再発を防ぐには日々のケアと予防が欠かせません。毎日の生活習慣を少し見直すだけでも、虫歯の進行を防ぐ効果が期待できます。
以下のような習慣を意識して取り入れましょう。
- 定期的に歯科検診を受ける
- フッ素入り歯磨き粉を活用する
- 食べたあとにうがいをする
- キシリトールガムで虫歯菌の活動を抑える
それぞれの生活習慣について、詳しく解説します。
定期的に歯科検診を受ける
初期虫歯の再発や進行を防ぐには、定期的な歯科検診が欠かせません。理想は半年に1回のペースで受診することです。
歯科検診では、以下のようなケアが受けられます。
- 虫歯・歯周病のチェック
- 歯垢(プラーク)や歯石の除去
- 歯ぐきの状態(歯周ポケットなど)の確認
- 一人ひとりに合ったブラッシングやフロスの指導
- 歯垢の染め出しによる磨き残しのチェック
- お口の中の粘膜や顎の状態の確認
目に見えにくい歯と歯の間や、治療済みの歯のわきにできた虫歯も、定期的に歯科検診を受ければ早期に発見できます。
フッ素入り歯磨き粉を活用する
初期虫歯を予防・改善するには、フッ素入りの歯磨き粉が効果的です。
以下のポイントを意識すると、より高い予防効果が期待できます。
- フッ素濃度1,000ppm以上の歯磨き粉を選ぶ
- 就寝前に使用する
- 歯磨きの時間は2〜3分を目安にする
- うがいは少量の水で1回だけにする
- 磨いたあとは1〜2時間飲食を控える
毎日の歯磨きにフッ素入り歯磨き粉を取り入れることで、セルフケアの質が向上し、初期虫歯の進行予防にもつながります。
食べたあとにうがいをする
食後すぐに歯を磨けない場合でも、水やお茶でうがいをするだけで、虫歯予防に一定の効果があります。口内の酸性状態をやわらげることで、歯の脱灰を抑えられるためです。
口の中に残った食べ物の一部を洗い流す作用もあるため、とくに砂糖を含む食べ物や飲み物を摂取した後は効果的です。たとえば、職場で歯磨きが難しい場合でも、水やお茶で軽く口をすすぐだけで虫歯リスクを軽減できます。
ただし、うがいはあくまで応急的な対策です。歯磨きの代わりにはならないことを忘れないようにしましょう。
キシリトールガムで虫歯菌の活動を抑える
キシリトールには、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の活動を弱める効果があるとされています。キシリトールは酸を作らない甘味料で、口内にある虫歯菌がキシリトールを摂取しても、酸を生成できないためです。唾液の分泌が促され、口腔内の酸性環境を中和する働きもあります。
以下のポイントを意識すると、キシリトールガムの効果をさらに高められます。
- 1日3回、毎食後に噛む
- ガムを噛んでいる間(約5分間)は唾液を意識的にためる
- 最低3ヶ月以上、継続して摂取する
- キシリトール含有量50%以上・糖類ゼロの製品を選ぶ
ただし、うがいと同じく歯磨きの代わりにはなりません。食後はまず歯を磨き、その上でキシリトールガムを噛むのが理想的です。
初期虫歯を放置するとどうなる?
初期虫歯を放置すると、痛みのないうちに徐々に進行してしまいます。「まだ痛くないから」と放置せず、早期発見・早期対応が大切です。
初期虫歯の放置によって生じる主なリスクは、以下のとおりです。
- 削る・詰めるなどの治療が必要になる
- 歯の寿命が縮まる
- 根管治療や抜歯が必要になることも
それぞれのリスクについて、詳しく解説します。
削る・詰めるなどの治療が必要になる
初期虫歯を放置すると、やがて虫歯は象牙質まで進行し、歯を削って詰め物で補う治療が必要になります。進行した虫歯は自然には治らず、虫歯菌に感染した歯質を除去しなければならないためです。
一般的には、中期虫歯になると虫歯部分を大きく削り、型取りして金属やセラミックの詰め物を装着する治療が行われます。複数回通院が必要になるケースも少なくありません。
歯の寿命が縮まる
歯は一度削ると、どんなに高性能な詰め物を使っても元には戻りません。つまり、虫歯治療を繰り返すことで、歯の寿命は確実に縮まっていくのです。
最初は小さな詰め物で済んだ歯も、虫歯が再発すればさらに削って大きな被せ物が必要になり、最終的には抜歯に至ることもあります。
根管治療や抜歯が必要になることも
虫歯を放置し続けると、歯の神経(歯髄)まで感染が及び、「根管治療」が必要になることがあります。根管治療は数回に分けて行う必要があり、治療に1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
治療後は被せ物を装着して歯の機能を補いますが、神経を取った歯はもろくなりやすく、再感染や破折のリスクも高いです。
また、感染が歯の根まで及んでしまうと、最終的に抜歯せざるを得ないケースもあります。歯を失えばインプラントや入れ歯などの補綴治療が必要となり、身体的・経済的な負担も大きくなりがちです。
まとめ
初期虫歯は痛みなどの自覚症状が乏しく、見逃されやすいです。しかし、放置すると歯を削る治療が必要になり、最悪の場合は神経を抜く処置や抜歯に至ることもあります。
初期虫歯を発見し、進行を防ぐためにも定期的な歯科検診を受けることが大切です。
初期虫歯の予防や治療は、信頼できる歯科医院選びがカギとなります。
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