歯列矯正で頭痛が起きる原因は?対処法や受診の目安も解説

歯列矯正中に頭痛が起こることは珍しくなく、多くは治療に伴う一時的な反応です。しかし、原因を知り、正しく対処すれば改善できる可能性があります。
この記事では、矯正で頭痛が起こる原因から自分でできる対処法、頭痛が改善するケースまで、網羅的に解説します。
【この記事でわかること】
- 歯列矯正で頭痛が起こる主な原因
- 頭痛が起こりやすい具体的なタイミング
- 自分でできる対処法と歯科医院へ相談する目安
- 矯正治療で頭痛が改善するケース
なぜ?歯列矯正で頭痛が起きる3つの主な原因
この章のまとめ!
頭痛の主な原因は、歯が動く痛みが広がる「関連痛」や、噛み合わせの変化による「筋肉の緊張」です。また、治療に対する精神的ストレスも一因となります。
矯正中に起こる頭痛は、漠然としたものではありません。そこには、身体の中で起きている変化に基づいた、はっきりとした理由があります。
主な原因は以下の3つになります。
- 歯が動く痛みからの「関連痛」
- 噛み合わせの変化による「筋肉の緊張」
- 治療に対する「精神的ストレス」
それぞれ詳しく解説します。
原因①:歯が動く時に生じる「関連痛」
歯列矯正では、装置の力で歯の根の周りにある「歯根膜」が圧迫され、これが歯の痛みとなります。
この痛みの信号が、神経を通じてこめかみや側頭部など、歯から離れた場所へ伝わって痛みとして感じられることがあります。これを「関連痛」と呼び、歯の痛みが頭痛として認識されてしまうのです。
原因②:噛み合わせの変化による「筋肉の緊張」
歯が移動している間は、一時的に噛み合わせが不安定になります。体は無意識に安定した噛む位置を探そうとするため、顎や首、肩周りの筋肉が過度に緊張してしまいます。
特に、こめかみにある側頭筋の緊張は「緊張型頭痛」というタイプの頭痛を直接引き起こす原因となり、ズキズキとした痛みを感じることがあります。
原因③:治療に対する「精神的ストレス」
矯正治療は、痛みのほかに装置の違和感や見た目への悩みなど、様々な精神的ストレスを伴います。こうしたストレスは、自律神経のバランスを乱し、全身の血行不良や筋肉の硬直を引き起こします。
その結果、頭部への血流も悪化し、新たな頭痛を誘発、元々もっている頭痛を悪化させたりすると言われています。
矯正中に頭痛が起こりやすいタイミング
この章のまとめ!
頭痛は、矯正装置を初めてつけた時や、ワイヤー調整後など、歯にかかる力が変化したタイミングで起こりやすいです。
矯正中の頭痛は、以下のように決まったタイミングで起こりやすい傾向があります。
- 初めて矯正装置を装着したとき
- ワイヤー交換や装置の調整後
- 補助装置(ゴムかけ等)を開始した時
歯が持続的な力を初めて受けるため、最も痛みや違和感が出やすく、頭痛にも繋がりやすいです。
歯にかける力を強めるため、調整後2〜3日間は痛みのピークとなり、頭痛も起こりやすくなります。
歯を動かす方向や力の加え方が変わるため、新たな刺激となって頭痛を引き起こすことがあります。
矯正中の頭痛、どうすればいい?自分でできる対処法と受診の目安
この章のまとめ!
まずは、痛み止めの服用や食事の工夫といったセルフケアを試しましょう。痛みが長引いたり、日常生活に支障が出たりするなら、迷わず歯科医師への相談が必要です。
突然の頭痛に、どう対処すればよいのでしょうか。ここでは、自分でできる簡単なケアと、専門家へ相談すべき症状の判断基準を具体的に解説します。
まずは試したいセルフケア
我慢できないほどの痛みでなければ、まずはセルフケアを試してみましょう。市販の痛み止めを服用する際は、事前に歯科医師へ相談するとよいでしょう。
また食事は硬いものを避け、おかゆやスープなど柔らかく咀嚼の負担が少ないものを選びましょう。筋肉の緊張を感じるなら、首や肩を温めたり、軽いストレッチをしたりするのも有効な手段です。
こんな時は歯科医師に相談を
以下の症状が見られる場合、早めに治療中の歯科医師へ相談するとよいでしょう。我慢することが、かえって症状を悪化させる可能性もあります。
- 市販の痛み止めが効かない、または飲む回数が増えている
- 痛みが1週間以上続いている
- 頭痛だけでなく、めまいや吐き気も伴う
- 顎が鳴る、口が開けにくいなど、顎関節症を疑う症状がある
- 痛みで日常生活に支障が出ている
歯科矯正で頭痛が改善される?
この章のまとめ!
噛み合わせを整えることで、筋肉の緊張からくる頭痛は改善が見込めます。片頭痛も、その原因が噛み合わせに関連する場合に限り、症状が和らぐ可能性があります。
緊張型頭痛が改善されるメカニズム
悪い噛み合わせは、顎やその周辺の筋肉に常に余計な力を加え、血行不良を引き起こします。これが筋肉を緊張させ、頭全体を締め付けるような「緊張型頭痛」の主な原因となります。
矯正治療で噛み合わせが本来の位置に戻ると、筋肉への不自然な負担が解消され、緊張型頭痛の改善が期待できます。
顎関節症と片頭痛の関連性
片頭痛の直接的な原因は様々ですが、その一つに顎関節症が挙げられることがあります。噛み合わせの悪さは顎関節に大きな負担をかけ、顎関節症を引き起こす一因です。
矯正治療で噛み合わせを整え、顎関節への負担が軽減されることで、片頭痛を誘発するきっかけが減り、頻度や強さが改善する可能性があります。
全ての頭痛が改善できるわけではない
あくまでも歯列矯正で改善が期待できるのは、「噛み合わせの不調」から発生する片頭痛と言われています。
歯列矯正を行ったからといって必ず改善されるわけではありません。根本的に解決するためには片頭痛の原因を突き止めて、それに対する治療や生活習慣の見直しなどを行いましょう。
まとめ
歯列矯正中の頭痛は、一時的な症状です。その原因の多くは、歯が動く痛みや筋肉の緊張によるものであり、正常な反応とも言えます。
大切なのは痛みの原因を正しく理解し、適切な対処法を知っておくことです。
【この記事の要点】
- 矯正中の頭痛は「関連痛」「筋肉の緊張」「ストレス」が主な原因
- 痛み止めや食事の工夫といったセルフケアで対処できることが多い
- 痛みが長引く、我慢できないときは、かかりつけの矯正歯科に相談する
- 筋肉の緊張からくる頭痛は、矯正治療によって改善する可能性がある
以下でご紹介するページでは、矯正歯科を探している方に向けた歯科医院の一覧を、参考情報として掲載しています。情報収集の一環としてご利用ください。
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