入れ歯は何歳から?平均年齢や原因・予防法まで解説

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入れ歯」というと高齢者が使うものというイメージが根強いですが、実際には40代や50代、場合によってはそれ以下の世代で必要になることも少なくありません。また、歯を失う原因は加齢だけではなく、噛み合わせの異常や事故など多岐にわたり、年齢によってリスクの高まり方も異なるのが現状です。

本記事では、一般的に入れ歯は何歳ごろから必要になるのか、また入れ歯になる原因や予防法についても解説します。

入れ歯になる平均年齢は?

入れ歯になる平均年齢は、一概に何歳といえるものではありません。入れ歯の要因は虫歯や歯周病、外傷などさまざまなものがあり、それぞれの世代で入れ歯を必要とする方が存在するためです。ただし、厚生労働省の調査結果から、永久歯を失う、入れ歯を使い始める方が増える年齢などが明らかになっています。

ここでは、その調査結果をもとに、入れ歯になる平均年齢を読み取ってみましょう。

40代頃から歯を失う人が増える

厚生労働省が実施した「令和6年 歯科疾患実態調査」によると、永久歯を1本以上失った経験がある人の割合は、30代までは1割未満です。しかし、40〜44歳では16.6%、45〜49歳では26.0%に上昇し、50代前半には3人に1人が歯を失った経験をもつようになります。

【年齢階級別:喪失歯を有する者の割合(全国補正値)】

年齢階級 割合
15~19歳 0.4%
20~24歳 0.5%
25~29歳 0.9%
30~34歳 8.6%
35~39歳 9.9%
40~44歳 16.6%
45~49歳 26.0%
50~54歳 32.8%
55~59歳 42.6%
60~64歳 60.3%
65~69歳 74.4%
70~74歳 81.9%
75~79歳 89.3%
80~84歳 89.9%
85歳以上 96.0%

出典:厚生労働省 令和6年 歯科疾患実態調査結果の概要

入れ歯になるのは50代前後が多い傾向

入れ歯を使い始める人が増えるタイミングは、50代前後といえます。40代で歯を失い始め、50代に入ると失う本数が平均1本を超え、補綴治療を検討する人が増えるためです。

同調査によると、1人平均の喪失歯数は40〜44歳で0.4本、45〜49歳で0.5本と、40代ではまだ1本未満であることがうかがえます。しかし50〜54歳で1.0本に達し、55〜59歳で1.3本、60〜64歳で2.7本と急増、65~69歳では4.7本に達します。

【年齢階級別:1人平均喪失歯数(全国補正値)】

年齢階級 平均喪失歯数
15~19歳 0.0本
20~24歳 0.0本
25~29歳 0.0本
30~34歳 0.1本
35~39歳 0.2本
40~44歳 0.4本
45~49歳 0.5本
50~54歳 1.0本
55~59歳 1.3本
60~64歳 2.7本
65~69歳 4.7本
70~74歳 6.7本
75~79歳 8.4本
80~84歳 8.9本
85歳以上 13.7本

さらに、同調査では、補綴物を装着している人の割合が40代までは1割程度にとどまりますが、50代で約4人に1人、60代ではほぼ2人に1人に達していることも明らかになっています。

【年齢階級別:補綴物装着者の割合(全国補正値)】

年齢階級 総数 ブリッジ 部分床義歯 全部床義歯 インプラント
15~19歳 0.4% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
20~24歳 0.2% 0.2% 0.0% 0.0% 0.0%
25~29歳 0.2% 0.2% 0.0% 0.0% 0.0%
30~34歳 5.8% 3.2% 2.8% 0.0% 0.0%
35~39歳 6.4% 5.9% 0.8% 0.0% 0.4%
40~44歳 13.0% 12.6% 1.4% 0.0% 0.0%
45~49歳 17.1% 11.8% 0.7% 0.1% 3.9%
50~54歳 24.3% 20.1% 5.2% 0.7% 0.6%
55~59歳 32.1% 28.5% 4.3% 0.2% 2.3%
60~64歳 43.2% 35.1% 11.2% 1.6% 2.3%
65~69歳 64.4% 48.2% 20.4% 5.5% 6.2%
70~74歳 70.8% 50.3% 32.6% 11.0% 4.3%
75~79歳 78.2% 51.7% 38.8% 13.7% 7.6%
80~84歳 79.4% 45.2% 52.0% 14.0% 3.9%
85歳以上 85.2% 37.2% 51.1% 30.7% 2.3%

※総数はいずれかのひとつでも装着している者

このように、50代は「平均喪失歯数が1本を超える」「補綴物装着率が急増する」という二つの変化が重なる時期です。40代から予兆が始まり、50代で入れ歯を含む治療を検討する人が増えることがわかります。

出典:厚生労働省 令和6年 歯科疾患実態調査結果の概要

入れ歯は何歳から使用できる?

多くの人が入れ歯は年配になってから使うものと考えがちですが、実際には年代を問わず誰にでも適応可能な治療方法です。その理由について、具体的に解説します。

入れ歯に年齢制限はない

入れ歯治療は、原則として失った歯を補う必要があるすべての年代に適応可能であり、年齢制限はありません。また、年齢そのものによって保険が適用されたりされなかったり、ということもなく、歯科医師に必要があると判断されれば誰でも入れ歯が使用できます。

子供や若い世代でも入れ歯はできる

先天的に永久歯が欠損している場合には、小児用の入れ歯が使われることがあります。また10〜30代といった若い世代でも、事故やスポーツなどで歯を失った場合に部分入れ歯が必要になるケースも少なくありません。

入れ歯は高齢者専用の治療ではなく、一般的にどの世代であっても使用できる治療法であることを理解しておきましょう。

入れ歯が必要な状態になる主な原因

入れ歯が必要になる原因としては、歯周病や虫歯が広く知られています。ここでは、入れ歯の必要となる原因について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • 歯周病
  • 虫歯を放置
  • その他の要因

歯周病

歯を失う原因としてまず挙げられるのが、歯周病です。公益財団法人 8020推進財団の調査によると、歯を失った理由の約4割が歯周病によるもので、虫歯や外傷を上回っています。

歯周病は歯を支える歯槽骨や歯肉が炎症で破壊される病気で、進行すると歯がぐらつき、最終的に自然脱落することも少なくありません。

歯周病は初期には自覚症状が少なく、気づいたときには進行していることが多いのが特徴です。喫煙や糖尿病、ストレス、不十分な口腔清掃習慣がリスクを高めることも分かっています。歯周病が進行して歯を失うと、入れ歯やインプラントといった補綴治療が必要になるため、日常的なケアと定期健診による早期発見が不可欠です。

参考:公益財団法人8020推進財団 第2回 永久歯の抜歯原因調査 報告書

虫歯を放置

虫歯も、入れ歯が必要となる大きな原因のひとつです。8020推進財団の調査によると、永久歯を失う理由の約3割が虫歯であり、歯周病に次いで高い割合を占めています。虫歯は進行すると神経まで感染が及び、歯根の保存が困難となり、最終的に抜歯に至るケースも少なくありません。

なお虫歯は若い世代に多く40代以降は減少しますが、80歳以降で増加する傾向があることも同調査では明らかになっています。

参考:公益財団法人8020推進財団 第2回 永久歯の抜歯原因調査 報告書

その他の要因

歯周病や虫歯以外にも、入れ歯が必要になる原因はいくつかあります。代表的なのは歯の破折で、強い嚙みしめや外傷で歯の根が割れるケースです。破折するとその歯は保存が難しく、抜歯になることが多い傾向があります。

また、先天的に歯が欠けているケースや、矯正治療での抜歯、全身疾患や薬の影響、歯ぎしりのほか、スポーツや事故による外傷で若い世代が部分入れ歯を使うケースもあり、欠損の理由は年齢に限らず多様です。

若いうちから入れ歯にするメリットはある?

若いうちから入れ歯にするメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

  • 適応力が高い傾向がある
  • 安定しやすい
  • 治療時間が短い

それぞれの内容を詳しく紹介します。

適応力が高い傾向がある

若い世代は新しい環境や変化に順応しやすく、入れ歯に対しても比較的慣れが早いとされます。装着直後は異物感や発音のしづらさを感じるのが一般的ですが、若い時期であれば舌や口腔周囲の筋肉が柔軟に対応し、短期間で日常生活に適応するケースも少なくありません。

この点は、若いうちに入れ歯を利用するメリットといえます。

安定しやすい

入れ歯は残存歯や歯槽骨、歯肉の状態に大きく影響を受ける治療法です。若い世代では歯周組織や顎骨の量が比較的良好に保たれていることが多く、入れ歯を支える基盤がしっかりしているため安定しやすい傾向があります。

その結果、入れ歯が外れやすい、噛んだときに痛いといったトラブルが比較的少なく、調整回数も少なく済む可能性がある点はメリットとして挙げられるでしょう。また、加齢による骨の吸収や歯肉の変化が少ないうちは、入れ歯の適合状態も長く維持しやすい傾向があります。

ただし、若い世代であっても歯周病や外傷の既往がある場合は条件が変わるため、歯科医師による精密な診査が欠かせません。

治療時間が短い

入れ歯は外科手術を必要としないため、2週間~1ヵ月程度と比較的短期間で製作から装着まで進められます。歯型の採取から数回の通院で完成することがあり、治療の時間が確保しにくい若い世代にとって通院スケジュールを組みやすいのはメリットになり得るでしょう。

ただし、装着後は使用感に合わせて微調整が必要となり、長期的には再製作も想定されます。それでも「早く噛める状態を目指せる」ことは、若い世代にとって検討しやすい特徴といえるでしょう。

できるだけ入れ歯にならないようにするための予防策

入れ歯を必要とする背景には歯周病や虫歯など生活習慣に関わる要因が多く、日頃の取り組みでリスクを減らせる場合があります。ここでは、毎日のセルフケアから歯科医院での定期的なチェックまで、入れ歯をできるだけ避けるために役立つ予防策をみていきましょう。

  • 正しくセルフケアを行う
  • 食生活に注意する
  • 歯ぎしり・食いしばりに気をつける
  • 定期的に歯科でチェックを受ける

正しくセルフケアを行う

歯を失う原因の多くを占める歯周病や虫歯は、毎日のセルフケアによってある程度防ぐことができます。毎日の歯磨きに加え、フロスや歯間ブラシを併用すると清掃効果が高まり、歯垢が残りにくくなることが期待できるでしょう。

また、自己流では磨き残しが出やすいため、歯科でブラッシング指導を受けて正しいケア方法を身につけるのが大切です。継続的に正しいケアを続けることは、歯を長持ちさせ、入れ歯が必要になるリスクを減らすことにつながります。

食生活に注意する

食事の内容や摂り方も、歯の健康に関わる点です。砂糖を多く含む甘い飲食物や、炭水化物中心の食生活は虫歯のリスクを高めることが知られています。

特にだらだら食べを続けると口内が酸性に傾きやすく、歯が溶けやすい状態が続く傾向があるため注意しましょう。間食の回数を控える、食後は水で口をすすぐといったちょっとした工夫が、リスクの低減につながります。

歯ぎしり・食いしばりに気をつける

無意識に行う歯ぎしりや食いしばりは、歯や歯根に大きな力を加え、欠けや破折の原因になるケースも少なくありません。就寝中に起こることが多いため、自覚しづらい側面もあります。

朝起きたときに顎の疲れや歯のすり減りを感じる場合は、注意が必要です。歯科ではナイトガード(マウスピース)の使用などの対策が検討されることもあるため、気になる症状があれば相談してみるのもひとつの方法といえるでしょう。

定期的に歯科でチェックを受ける

どんなに丁寧にセルフケアをしていても、歯石や小さな虫歯を完全に防ぐことは難しいため、歯科での定期的なチェックは欠かせません。トラブルの早期発見や予防につながるほか、ブラッシング方法やフロスの使い方などの指導も受けられるため、セルフケアの質を高めることも期待できるでしょう。

まとめ

入れ歯は年齢制限がなく、原則として何歳であっても必要に応じて使用できる治療法です。事故や先天的な歯の欠損などで若い世代でも入れ歯を使用するケースも見られるものの、実際に入れ歯の原因になるのは歯周病や虫歯が多くを占めています。

歯周病や虫歯の早期発見や予防には、歯科による検診が欠かせません。定期検診を習慣づけるとともに、セルフケアに丁寧に取り組む、食生活に気を配るなどの日常の対策も怠らないようにしましょう。

以下でご紹介するページでは、入れ歯で悩んでいる方に向けた歯科医院の一覧を、参考情報として掲載しています。情報収集の一環としてご利用ください。

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ベストチョイス編集部
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