子供の歯科矯正で「やらなきゃよかった」と後悔?小児矯正が意味ないと言われる理由

子供の歯科矯正は、将来の歯並びや噛み合わせを整えるための治療です。しかし実際に始めてみると「思っていたより大変だった」「やらなきゃよかった」と感じた、という声も耳にします。費用面や通院、子供への負担など、想定していなかった課題に直面するケースも少なくありません。
ここでは、子供の歯科矯正で後悔しやすい代表的な理由をはじめ、後悔を防ぐために知っておきたいポイントについて紹介します。
子供の歯科矯正でやらなきゃよかったと後悔する6つの理由
子供の歯科矯正は、見た目の改善だけでなく、将来的なかみ合わせや歯の健康を守る目的でも行われます。一方で、始めてみると治療の大変さや想定外の負担に戸惑うケースも多く、子供本人のみならず保護者も「やらなきゃよかった」と後悔することがあるかもしれません。
特に以下のような点が、「やらなきゃよかった」と感じさせる原因になる可能性があります。
- 保護者・子供ともに負担が大きかった
- 治療が想定より長引いた
- 健康な歯を抜かなければならなかった
- 虫歯が増えた
- 費用の負担が大きかった
- 拡大床の不適切な使用によって歯並びが悪化した
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
保護者・子供ともに負担が大きかった
矯正治療は、通院や装置の管理、日々のケアが欠かせません。子供は装置の違和感や痛み、装置の付け外しの手間などに戸惑いやストレスを感じることもあるでしょう。保護者も装置の装着や通院、口腔ケアなどさまざまなサポートが必要となり、負担を抱えやすい傾向があります。
子供の矯正治療では親子の協力が欠かせないといえますが、場合によっては継続が難しくなり「想像以上に大変だった」と感じることもあるかもしれません。
治療が想定より長引いた
子供の矯正治療は成長に合わせて段階的に行うため、治療期間が読みにくいこともあります。
歯や骨の発達には個人差があり、予定より時間がかかることも少なくありません。治療が長期化すると、通院回数や調整の負担が増し、子供のモチベーション維持も難しくなります。
思ったより時間がかかる現実に、途中で「やらなきゃよかった」と後悔を感じる保護者もいるようです。
健康な歯を抜かなければならなかった
矯正にあたって歯並びを整えるためにスペースを確保する必要がある場合、健康な歯を抜く判断がなされることも少なくありません。
何のトラブルも抱えていない健康な歯の抜歯に抵抗を感じる保護者は多く、思いがけない処置に不安を抱くケースも見られます。ただし抜歯するかどうかは症例によって異なり、すべての矯正で行うわけではありません。
治療方針を決める際に、よく歯科医師に相談することが望ましいでしょう。
虫歯が増えた
矯正装置を装着すると、ブラッシングがしづらくなり汚れが残りやすくなります。その結果、虫歯や歯肉炎の発生リスクが高まる可能性が否定できません。虫歯が増えたことによって矯正のメリットよりもデメリットを強く感じ、後悔することもあるでしょう。
特に子供は磨き残しに気付きにくく、そのままでは虫歯になる可能性が高いため保護者のチェックや、場合によっては仕上げ磨きも必要になり手間がかかります。そういった視点においても「やらなきゃよかった」と感じることになりかねません。
費用の負担が大きかった
子供の歯科矯正は基本的に自由診療で行われるため、治療費は全額自己負担です。矯正装置の費用に加え、通院ごとの調整料や再診費なども発生し、トータルコストが膨らみやすい傾向があります。
費用に見合う効果を実感できないと感じた場合、経済的な負担がそのまま後悔につながることもあるでしょう。
拡大床の不適切な使用によって歯並びが悪化した
顎を広げる目的で使用される拡大床は、使用方法を誤ると逆効果になるおそれがあります。指示された装着時間を守らなかったり、保護者の確認なしに子供が誤った方法で装着したりすると、歯列に負担を与える可能性も否定できません。
不適切な調整によって歯の位置がずれると、かえって歯並びが乱れてしまう可能性があります。その結果、再調整や追加の費用が必要になり「やらなきゃよかった」と思うことも考えられるでしょう。
「小児矯正は意味がない」といわれる真相
小児矯正に否定的な意見として、「意味がない」「やっても無駄だった」という声が聞かれることがあります。しかし、こうした印象は必ずしも小児矯正という治療そのものの問題とは限りません。
治療の目的や時期、成長段階の理解が不十分なまま始めてしまうことで、期待とのズレが生じやすいのです。
主な理由としては次のような点が挙げられます。
- 成長による後戻りがあるから
- 結局二期治療が必要だから
- 期待したような結果が得られないから
それぞれの背景を、詳しく見ていきましょう。
成長による後戻りがあるから
子供の骨格や歯列は、成長に伴って変化します。そのため、矯正後であっても歯が元の位置に戻る後戻りが起こるケースも少なくありません。
特に保定装置(リテーナー)の装着を怠ると、せっかく整えた歯並びが乱れやすくなります。そのため「やっても意味がない」といわれることもあるかもしれません。
小児期は自己管理が難しいため、保護者のサポートや歯科医院でのこまめなチェックなどによって、後戻りを防ぐ工夫が求められます。
結局二期治療が必要だから
小児矯正の多くは、永久歯が生えそろう前の第一段階に実施します。この時期の治療は、顎の成長を促すなどその後の矯正のベース作りが目的であり、最終的な歯並びの完成は第二段階(永久歯列期)の矯正で行われるケースがほとんどです。
そのため、一期治療だけで満足な結果を得ることは少なく、「結局もう一度矯正が必要になった」と感じることで「意味がない」と思う保護者もいるでしょう。
小児矯正はそれだけで治療の完了を目指すものではなく、今後本格的な矯正を行うための準備の治療期間でもある点を理解しておく必要があります。
期待したような結果が得られないから
小児矯正は、歯や顎の成長スピード、生活習慣、治療への協力度などによって矯正の進み方には個人差が出ます。また矯正には制限が多く、子供や保護者が我慢や負担を強いられるシーンも少なくありません。想定していたほどの改善が得られないと、大変な思いをしている分「意味がなかった」と感じる可能性もあります。
しかし、それは治療効果がなかったのではなく、結果の個人差であるケースが少なくありません。また、期待している結果ではないことが即座に治療失敗につながるわけではなく、中には「期待しすぎ」であったり、当初から認識のズレがあったりするケースも見られます。こういった事態を防ぐためには、治療に入る前に、保護者と歯科医師の間で認識を共有しておくことが大切です。
小児矯正を検討するべきケース
矯正が検討される症状はさまざまありますが、子供の時点で小児矯正を検討するべきケースとしては、成長や噛み合わせに関わる問題が見られる場合が挙げられます。こうした兆候を早めに見つけることで、将来の歯並びや顎の発育に悪影響が及ぶのを防ぎやすくなるでしょう。
代表的な症状は以下のとおりです。
- 反対咬合(受け口)
- 交叉咬合(噛み合わせのズレ)
- 萌出不全(歯が正しく生えてこない)
- 開咬(口を閉じても前歯が噛み合わない)
- 上顎前突(出っ歯)
これらの症状は見た目の問題にとどまらず、咀嚼や発音、顔のバランスにも影響を与えることがあります。以下に、それぞれの特徴と放置した際のリスクをまとめました。
症状 | 主な特徴 | 放置した場合のリスク |
---|---|---|
反対咬合 | 下の歯が上の歯より前に出ている | 顎の成長に左右差が生じ、顔の歪みを引き起こすことがある |
交叉咬合 | 左右どちらかに歯列がずれて噛み合っている | 顎関節に負担がかかり、歪みや偏りの原因になる可能性がある |
萌出不全 | 一部の歯が正常な位置に生えてこない | 永久歯の位置異常や歯列不整を招くことがある |
開咬 | 口を閉じても前歯が噛み合わない | 発音や咀嚼への影響が出やすい |
上顎前突 | 上の前歯が前方に出ている状態 | 前歯の損傷リスクが高まるほか、口呼吸の原因になることもある |
これらの特徴が見られる場合、子供の矯正治療を検討してもいいかもしれません。可能であれば矯正専門医による診断を受け、治療開始時期や必要な対応を把握するといいでしょう。
顎の骨や歯が成長するタイミングを逃さないことが、将来的な治療負担を軽減することにもつながります。
子供が歯科矯正をするメリット
一般的に矯正治療というと「見た目を整えるためのもの」と思われがちですが、子供の矯正治療は将来の歯並びや顎の発育を健やかに導く、という役割もあります。成長期だからこそ得られる効果も多く、適切な時期に治療を行うことで長期的なメリットが期待できるでしょう。
子供の矯正治療のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 二期治療がスムーズに進むための土台づくりが期待できる
- 指しゃぶりや口呼吸などの癖の改善が期待できる
- 発音の改善が期待できる
- 歯を抜かずに治療できる可能性がある
- 矯正治療をきっかけに口腔ケアの習慣化を目指せる
次に、各項目について具体的に見ていきましょう。
二期治療がスムーズに進むための土台づくりができる
成長期に顎の成長をコントロールすることで、永久歯が正しい位置に並ぶスペースを確保しやすくなります。その結果、将来本格的な矯正(二期治療)を行う際、長期治療のリスクを減らせる可能性が期待できるでしょう。
小児矯正はそれだけで完全な矯正を目指すのではなく、近い将来に行う二期治療の土台づくり、という認識を持つと「やらなきゃよかった」ということはなくなるかもしれません。
指しゃぶりや口呼吸などの癖の改善が期待できる
子供の歯並びの乱れには、指しゃぶりや口呼吸といった習慣が関係していることがあります。
これらの悪習慣は、歯並びだけでなく顎の発育にも影響を及ぼす要因になりかねません。
小児矯正では、装置やトレーニングを通じて口周りの筋肉の使い方を整え、こうした癖の改善も目指せます。
発音の改善が期待できる
歯の位置や顎の動きは、発音の明瞭さに深く関わっています。特に開咬や受け口の状態では、サ行やタ行などの発音が不明瞭になりやすい傾向があることは否めません。
矯正によって歯列が整うと、舌の位置や空気の流れが安定し、自然と発音しやすくなることがあります。
歯を抜かずに治療できる可能性がある
小児期の顎の成長段階で治療を始めると、歯を動かすためのスペースを無理なく確保できるケースも少なくありません。
その結果、成人矯正で必要になるケースが多い抜歯を避けられる可能性もあります。将来的な身体への負担を減らせる場合もある点は、子供の歯科矯正におけるメリットといえるでしょう。
矯正治療をきっかけに口腔ケアの習慣化を目指せる
子供の歯科矯正では、正しいセルフケアが大切です。歯磨きやデンタルフロスの使用、矯正装置の手入れなど矯正治療を通じて歯や口の健康に意識が向くようになり、その結果、子供自身がケアの重要性を理解し、自然と口腔ケアの習慣が身につく可能性があります。
小さなころからセルフケアを正しく行い、歯や口の健康に対する意識を持つことは将来的に自分の歯を大切にする意識を育てるきっかけにもなるでしょう。
まとめ
子供の歯科矯正は、見た目を整えるだけの治療ではなく、将来の噛み合わせや歯の健康を守るための取り組みといえます。一方で、治療の大変さや経済的な負担から「やらなきゃよかった」と感じるケースもあるかもしれません。
しかし、小児矯正は、成長の力を味方につけながら将来の治療をよりスムーズに進めるための準備段階でもあります。後悔するのは理解不足や認識の違いが原因のケースが多く、矯正そのものが無意味というわけではありません。
治療を検討する際は、焦らず複数の歯科医院で相談し、それぞれの方針や説明を比較することが大切です。子供の生活習慣や成長スピードに合った方法を選ぶことで、無理のない形で治療を進められるでしょう。
ベストチョイスでは、小児矯正に対応した歯科医院を地域別に紹介しています。子供の歯並びや噛み合わせに不安がある場合の納得できる選択のために、ご活用ください。
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