子供の指しゃぶりは歯並びに悪影響?やめるべき時期と対処法

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お子さんの指しゃぶりは、乳幼児期に見られる自然な行動のひとつです。吸てつ反射や情緒の安定を保つための行為とされ、成長の過程で多くのお子さんに見られます。しかし、3歳を過ぎても続く場合、歯や顎に持続的な力が加わることで、歯並びや噛み合わせに影響を及ぼす可能性が否定できません。

本記事では、お子さんの指しゃぶりが歯並びへ与える影響、やめる時期の目安、そして家庭でできる対処法を解説します。発達段階に応じた対応を理解し、健やかな口腔発達を支えるための参考にしてください。

指しゃぶりは歯並びに影響する?

指しゃぶりは乳幼児期に多く見られる行動ですが、長期間続くと歯や顎の発達に影響を与えることがあります。指が上の前歯や顎に当たることで、成長中の骨格に力が加わり、歯列や噛み合わせにわずかな変化が起こるためです。

主な影響としては、次の3つが挙げられます。

  • 出っ歯になる
  • 噛み合わせの異常が出る
  • 口腔トラブルが起こりやすくなる

それぞれ、詳しく解説します。

出っ歯になる

指しゃぶりを長く続けると、上の前歯が前方へ押し出され、上顎前突(出っ歯)の状態を引き起こすことがあります。吸う力が前歯を外側へ傾けるためで、永久歯が生える頃まで続くと、自然な噛み合わせが崩れることも少なくありません。

噛み合わせの異常が出る

長期間の指しゃぶりは、開咬(かいこう)や交叉咬合(こうさこうごう)などの噛み合わせ異常の原因となる場合があります。

開咬は上下の前歯の間に隙間ができる状態で、食べ物を噛みづらくなるほか、発音への影響も懸念される症状です。交叉咬合では、奥歯の位置関係がずれて顔のバランスに影響することもあります。

口腔トラブルが起こりやすくなる

歯列が乱れると口を閉じにくくなり、口呼吸が習慣化する傾向が見られます。その結果、口腔内が乾燥して虫歯や歯肉炎などのトラブルを起こしやすくなる恐れが否定できません。

また口呼吸が続くと、舌や唇などの筋肉の使い方が偏り、発音や嚥下(飲み込み)に影響を及ぼすこともあります。

こうした悪循環を防ぐためには、生活習慣や呼吸の状態を早めに見直し、必要に応じて小児歯科で相談することが大切です。

歯並びへの影響も?お子さんが指しゃぶりをする理由

指しゃぶりは、乳幼児にとって安心感を得るための自然な行動です。生まれた直後の赤ちゃんは吸てつ反射によって指や手を吸う動作を見せますが、これは母乳や哺乳瓶から上手に飲むための本能的な動きとされています。

その後も眠いときや不安なとき、退屈を感じたときなどに指をしゃぶることで、心を落ち着ける効果があるといわれてきました。

また、指しゃぶりには心理的な要因だけでなく、発達段階に応じた生理的な意味もあるといわれ、指を吸うことで手と口の協調運動を学び、触覚や感覚の発達を促す働きがあると考えられています。

一方で、3歳を過ぎても頻繁な指しゃぶりが続く場合には、環境の変化やストレスが背景にあることも少なくありません。

そのため、指しゃぶりをただ単に悪い癖と捉えるのではなく、お子さんの心と身体の発達を理解したうえで、落ち着ける環境を整えることが大切です。

指しゃぶりはいつまで?歯並びへの影響を考え始める時期

指しゃぶりをやめるタイミングは、子供の発達段階によって異なります。以下では、時期ごとの特徴と対応のポイントを見ていきましょう。

  • 乳幼児の指しゃぶりはやめさせる必要はない
  • 3~4歳を目安にやめる方向へ

乳幼児の指しゃぶりはやめさせる必要はない

1〜2歳頃の指しゃぶりは発達過程の一部であり、情緒の安定や入眠の助けになる自然な行動です。この時期に無理にやめさせようとすると、不安や緊張が高まり、他の癖が現れる場合もあります。

そのため、乳幼児の指しゃぶりにそれほど神経質になる必要はありません。無理にやめさせるよりも、自然に任せるといいでしょう。

3~4歳を目安にやめる方向へ

3歳を過ぎると、乳歯列がほぼ完成し、顎の骨の発達も進みます。それ以降も頻繁に指しゃぶりが続くと、歯並びや咬合への力のかかり方に偏りが生じる可能性が否定できません。

そのため、3~4歳を過ぎても長時間の指しゃぶりがある場合は、やめる方向への働きかけを検討する時期に入ったといえます。可能であれば4歳までには指しゃぶりをなくせるよう、対策することが望ましいでしょう。

お子さんの指しゃぶりと歯並びのために家庭でできる対処法

指しゃぶりは多くのお子さんに見られる行動で、短期間で解消できるものではありません。保護者が焦ってやめさせようとすると、かえってストレスを与え、習慣が強まることもあります。

そのため、家庭での対応は「叱らず、見守りながら少しずつ」が基本です。お子さんの安心感を保ちつつ、自然に手放せるよう働きかけるよう心掛けましょう。

ここでは、家庭で実践できる6つの方法を紹介します。

  • 焦らずに見守る
  • 前向きな声掛けを心掛ける
  • 代わりになるものを与えて様子を見る
  • 手袋や絆創膏を活用する
  • 一緒に手遊びをする
  • 歯科医師に相談する

焦らずに見守る

指しゃぶりをやめることを検討する時期に入ったからといって、すぐにやめさせようとするのではなく、子供の成長に合わせて自然に減っていく過程を見守る姿勢が大切です。

お子さんの成長には、個人差があります。気長に待っているといつの間にか指しゃぶりの頻度や時間が減り、自然とやめることも少なくありません。

急に厳しく禁止したり、「まだ続いている」と不安になったりするよりも、少しずつ減少している様子を肯定的に受け止めて焦らずに見守るよう意識するといいでしょう。

前向きな声掛けを心掛ける

「やめなさい」「どうしてできないの」といった否定的な言葉よりも、「我慢できたね」「今日は頑張ったね」といった肯定的な言葉をかけることで、お子さんの自信と自己肯定感を育てることが期待できます。

叱責や否定ではなく、できたことを褒める声掛けが、やめる意欲を高めるうえで効果が期待できるでしょう。また、親子で一緒に目標を共有しながら取り組むことで、子供が自分から「やめたい」という気持ちを持ちやすくなります。

代わりになるものを与えて様子を見る

お気に入りのぬいぐるみやブランケットなど、安心感を得られるものを渡すことで、指しゃぶりの代替行動を促せる可能性があります。

特に眠る前や不安を感じるときは、安心できるアイテムが役に立つかもしれません。お子さんが落ち着ける対象を見つけることで、無理のない自然な形で指しゃぶりの回数を減らせる可能性があります。

手袋や絆創膏を活用する

夜間や無意識のうちに指をしゃぶってしまう場合は、手袋や絆創膏を使って物理的に防ぐ方法もあります。

ただし、強制的に使わせるのではなく、「今日はおやすみ前に試してみようか」といった声掛けで、子供が自ら受け入れられる形にすることが大切です。また、継続する際は清潔を保ち、肌荒れなどがないかも確認しましょう。

一緒に手遊びをする

親子で手遊びや工作をするなど、指先を使う活動を増やすのも指しゃぶりから意識を離す効果が期待できます。手を動かす楽しさを知り、それに集中することで指しゃぶり以外の行動に興味が向きやすくなるでしょう。

また、親子のふれあいを通じて安心感を得られるため、精神的な落ち着きにもつながります。

歯科医師に相談する

4歳を過ぎても頻繁な指しゃぶりが続く場合は、小児歯科や矯正歯科に相談するのがおすすめです。歯列や噛み合わせの状態を確認したうえで、必要に応じて専門的な助言やサポートを受けられます。

指しゃぶりが心理的なストレスから来ている場合でも、歯科医師が保護者と連携し、無理のない方法を一緒に考えてくれるでしょう。

お子さんの指しゃぶりと歯並びに関するQ&A

指しゃぶりは多くの家庭で見られる行動であり、「いつやめさせるべきか」「おしゃぶりは使ってもいいのか」といった疑問を抱く方は少なくありません。

ここでは、お子さんの指しゃぶりについてよくある3つの質問について回答します。

指しゃぶりは絶対にいけないの?

指しゃぶりは、必ずしも悪い行動ではありません。乳幼児期(1〜2歳頃)は発達の一環として自然な行動であり、安心感を得るための心理的サインともいえます。

ただし、一般的に指しゃぶりは3歳ごろを目安に自然と減っていき、4歳ごろまでに自然になくなるのがひとつの目安です。4歳を過ぎても続く場合は、歯並びや噛み合わせの形成に影響を及ぼす恐れが否定できないため、一度歯科医師に相談することをおすすめします。

おしゃぶりを使用するのはいいの?

おしゃぶりは昔から使われてきた育児用品で、吸う動きによってお子さんの口周りの筋肉を使う練習になり、気持ちを落ち着かせるなどの効果もあるといわれています。一方で、長期間の使用は指しゃぶりと同じように歯列や噛み合わせに影響する可能性があるため、使用の目的と期間を意識することが大切です。

ただし現在は、専門家の間でもおしゃぶりの使用時期や影響に関して意見が分かれています。そのため、使う場合は「寝かしつけのときだけ」「外出時の一時的な利用」など、時間を限定して活用するのもひとつの方法でしょう。心配な場合は、小児歯科でお子さんの発達や歯列の状態に合わせた適切なアドバイスを受けることを推奨します。

4歳を過ぎても指しゃぶりをやめないときはどうすればいい?

4歳を過ぎても指しゃぶりが続く場合、噛み合わせや顎の発育に影響している可能性があります。また、心理的な不安やストレスが原因となっていることもあるため、家庭での声掛けや工夫で改善しない場合は、小児歯科で一度相談してみましょう。

歯並びや癖の程度を確認したうえで、必要に応じてマウスピースなどのサポートを提案されることもあります。無理にやめさせるよりも、専門家と一緒に自然な解消を目指すことが大切です。

まとめ

指しゃぶりは、乳幼児期に多くの子供が経験する自然な行動のひとつです。成長とともに落ち着くケースがほとんどであり、早い段階で無理にやめさせる必要はありません。

ただし、3〜4歳を過ぎても続く場合は、歯並びや噛み合わせへの影響が出るおそれがあるため、少しずつ意識付けを行うことが大切です。

家庭では「焦らず、叱らず、励ましながら」を意識し、前向きな声掛けや手遊びなどで自然と指しゃぶり以外の行動へ導くことが望ましいでしょう。それでも改善が見られない場合は、

小児歯科や矯正歯科で専門的なアドバイスを受けるのがおすすめです。

お子さんの指しゃぶりや歯並びに関して、「どの歯科医院に相談すればいいかわからない」という場合は、ベストチョイスの小児歯科特集ページをご覧ください。お住まいの地域やお悩みに合わせて、歯科医院を比較・検討できます。

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ベストチョイス編集部
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