インプラントは一本だけの治療も可能?費用相場やメリット・デメリットを解説

一本だけ歯を失った場合でも、インプラント治療を選択できるのか、また費用はどの程度かかるのかは、多くの方が気になる点ではないでしょうか。差し歯の見た目や経年変化をきっかけに、治療法の選択肢としてインプラントを検討されるケースも少なくありません。
本記事では、インプラントは一本だけでも可能なのかという基本的な疑問から、費用相場・費用内訳・追加費用が必要になるケースまで解説します。
インプラント治療は一本だけでもできる?
インプラント治療は、一本だけの欠損歯に対しても行える治療方法とされています。インプラントが可能かどうかの判断基準は一本だけか否かではなく、周囲の歯の状態や顎の骨量、歯肉の健康状態など、口腔内の条件が整っているかどうかなどを総合的に見て判断されるのが一般的です。
安全にインプラントを埋入するためには、レントゲンやCTによる精査が必要となり、こうした検査を通じて治療が可能かどうかを判断していきます。一本のみの欠損でも、条件が整っていれば選択肢のひとつとして検討できる治療方法といえるでしょう。
インプラント治療の費用相場
インプラント治療にかかる費用は、治療工程や選択する素材などによって幅があります。一本のみを治療する場合でも、検査・手術・上部構造の製作など複数の工程が含まれるため、全体の費用を把握しておくことが大切です。
ここでは、以下の点について見ていきましょう。
- インプラント一本の費用の相場
- インプラント治療における費用内訳
- 追加の費用が必要になるケース
インプラント一本の費用の相場
一本のみのインプラント治療にかかる費用は、一般的に30万〜50万円程度とされています。ただし、インプラント治療は原則として自費診療であり使用するインプラント体(人工歯根)のメーカーや種類、上部構造に使用する素材などによって金額に幅が生じるため、上記の金額はあくまでも目安です。
また、治療前に行うCT撮影や診断など、必要な検査が別途発生する場合があります。一本だけの治療であっても工程は複数にわたるため、治療計画の段階で総額を確認しておくことが必要です。
インプラント治療における費用内訳
インプラント治療には複数の工程があり、それぞれに必要な費用が発生します。以下の表では、インプラント治療におけるそれぞれの工程の費用内訳をまとめました。
| 概要 | 費用目安(一本) | |
|---|---|---|
| 初診料・検査料 | 初診時の診察や口腔内の確認に加え、顎骨や周囲組織を確認するためのレントゲン・CT検査など | 数千〜数万円程度 |
| インプラント体 | 顎骨に埋め込む人工歯根。素材やメーカーにより価格差あり | 約10〜25万円程度 |
| 埋入手術料 | インプラント体を骨に埋入する外科的処置 | 約10〜20万円程度 |
| アバットメント | インプラント体と人工歯を連結するパーツ。
素材や形状により異なる |
数万円程度 |
| 上部構造(人工歯) | インプラント体に装着する人工歯で、かみ合わせや形態に合わせて個別に製作される。素材の種類で費用は異なる | 約5〜10万円程度 |
| 術後管理 | 治癒経過の確認やメンテナンス | 数千円程度〜 |
※インプラント治療は自費診療のため、費用は使用する素材や治療方法、追加処置の有無、各医院の価格設定などによって変動します。
追加の費用が必要になるケース
口腔の状態によっては、インプラントを安定させるために追加の処置を併用する場合があります。代表的なのが骨造成で、顎の骨量が不足している際に行われる処置です。必要な量に応じて費用が増える仕組みで、内容によって負担額に幅が生じます。
また、歯肉が薄い場合には、形態を整えるために歯肉移植を行うケースも少なくありません。そのほかにも手術への不安が強い場合には静脈内鎮静法を併用することがあり、その際も別途費用が必要です。
必要となる処置は個々の状態により異なるため、治療計画の段階で追加費用の可能性を確認しておくといいでしょう。
一本だけインプラントにするメリット
一本だけの歯の欠損にインプラント治療を選択するメリットとしては、以下が挙げられます。
- 健康な歯への影響が少ない
- 自然な見た目が期待できる
- 長期的に維持できる可能性がある
- 顎の骨を維持しやすい
- 噛む力が天然の歯に近い
それぞれについて、見ていきましょう。
健康な歯への影響が少ない
インプラント治療においては、歯を失った部位に人工歯根を埋め込むため、多くの場合周囲の健康な歯に対して削る・被せるなどの直接的な処置を行わずに治療を進めることが可能です。
そのため、周囲の健康な歯に与える影響が少ない傾向があり、保護しながら治療を行えるとされています。
自然な見た目が期待できる
インプラントは自費診療であるため、上部構造(人工歯)は色調や形態を細かく調整しやすい素材を選択可能です。周囲の歯の色合いや透明感、形のバランスなどを踏まえた設計が可能で、口元全体に調和する仕上がりを目指せます。
金属が露出することも基本的にはないため、歯が見えるような笑顔も自然で治療部位が目立ちにくい傾向がある点もインプラントの特徴のひとつです。
長期的に維持できる可能性がある
インプラント体には、一般的にチタンやチタン合金といった生体親和性の高い素材が用いられます。顎の骨と結合しやすい性質を持つため、適切に機能すれば長期間の使用を見込むことが可能です。
定期的なメンテナンスを実施すれば10年以上機能するケースもあり、耐久性が高い傾向がある治療法といえます。
顎の骨を維持しやすい
インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込むため、咀嚼で加わる刺激が骨に伝わりやすい仕組みです。
歯を失うとその部分に噛む力が伝わりにくくなり、骨吸収(顎の骨が痩せていく現象)が進む可能性があるとされています。その点インプラントは咀嚼によって骨に刺激を与えられるため、骨の量が減るスピードを抑える可能性が期待できるとされている治療法です。
噛む力が天然の歯に近い
インプラントは顎骨にしっかり固定されるため、動いたり外れたりしにくい構造です。そのため噛む感覚が安定しやすく、天然歯に近い咀嚼力を発揮しやすいといわれています。
個人差はありますが硬めの食材も噛みやすくなることもあり、その結果食事の幅が広がってQOLの向上につながる可能性も期待できるでしょう。
一本だけインプラントにするデメリット
インプラントは健康な歯への影響が少ない傾向がある、顎の骨を保ちやすいなどのメリットがある治療法ですが、以下のようなデメリットとなり得る注意点も存在します。
- 費用が高額になりがち
- 治療が長期化する傾向がある
- 外科手術が避けられない
- インプラント周囲炎のリスクがある
詳しく説明します。
費用が高額になりがち
インプラント治療は原則として保険適用外のため、治療費は全額自己負担です。また一本のみの治療でもインプラント体・手術費・上部構造の素材など複数の要素が関わるため、費用は一定の幅が出やすい傾向があります。
医療費控除の対象になるケースはあるものの一定の条件を満たす必要があるため、必ずしも負担が軽くなるとは限りません。そのため、事前に費用の総額を確認しておくことが大切です。
治療が長期化する傾向がある
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込む治療であり、埋入後に骨と結合するまで一定の治癒期間が必要です。この期間は数ヵ月に及ぶことがあり、ブリッジや入れ歯と比べると治療全体が長期化しやすい面があります。
また、骨量が不足している場合は骨造成などの追加処置が必要です。その場合、治療期間がさらに延びることも少なくありません。治療計画によってスケジュールが変わるため、仕事や生活の予定と調整しながら進める必要がある点は留意したい部分といえます。
外科手術が避けられない
インプラント治療では、人工歯根を顎の骨に埋め込む外科的な処置が必須です。手術後には腫れや痛みが出る場合もあり、身体への負担を感じる方も少なくありません。
また、持病や服薬状況によっては外科処置の可否を慎重に判断する必要があり、誰もが無条件で必ず受けられる治療ではない点も理解しておく必要があります。術後のセルフケアや衛生管理にも注意が必要で、患者さん自身の協力が治療結果に大きく影響する点も無視できません。
インプラント周囲炎のリスクがある
インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲に炎症が起こる感染性の疾患で歯周病に似た進行を示します。ブラッシング不足やプラークの蓄積、喫煙習慣などがきっかけとなりやすく、悪化するとインプラントを支える骨が吸収されるケースも少なくありません。
発症すると、場合によっては再手術や除去の必要が生じることもあるため、術後の衛生管理が重要です。
定期的なメンテナンスが必要になる
インプラントを長期間安定して使うためには、歯科医院での定期検診が欠かせません。歯周組織が炎症を起こすことがあるため、定期的なクリーニングや経過観察が必要です。
インプラントは治療後も定期的な通院が必要になることを理解したうえで、継続的な通院が可能かどうかを治療前に検討しておくといいでしょう。
インプラント以外で一本だけ治療する方法
一本だけ歯を失った場合の治療法は、インプラント以外にもあります。費用面や治療期間、周囲の歯への影響など、優先したい点は患者さんによって異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで比較検討することが大切です。
インプラント以外の主な治療法は、以下が挙げられます。
- ブリッジ
- 部分入れ歯
それぞれの特徴を見ていきましょう。
ブリッジ
ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を削り、それらを支台として橋渡し状の補綴物を固定する治療方法を指します。保険適用となるケースが多く、保険の範囲内で治療する場合は一本数万円程度が費用相場です。
支台となる健康な歯を削る必要があるため、削った歯の虫歯リスクや歯の寿命に影響する可能性が指摘されています。また、歯ぐきとの境目に汚れが溜まりやすく、日々の清掃には注意が必要です。
見た目は比較的自然に仕上がるものの、長期的に使用していると歯ぐきが下がって隙間が目立つケースもあるため、メンテナンスの必要性も理解したうえで選択することが求められます。
部分入れ歯
部分入れ歯は、クラスプ(金属のバネ)や樹脂の素材で欠損部に人工歯を装着する治療法です。保険適用で作製できるケースが多く、歯を大きく削らずに製作できるため、手術を避けたい方にも受け入れられやすい治療法といえるでしょう。
ただし、保険診療の場合は素材や構造に制限があるため、噛み心地や装着感に満足できないことがあるとされています。クラスプが見える位置に入れ歯が入る場合、見た目が気になる方もいるかもしれません。
加えて、部分入れ歯は定期的な調整が必要になる場合があり、長期間使用するうちに適合が変わってしまうこともあります。インプラントやブリッジとは異なる特徴を持つため、費用・見た目・使い心地のバランスを踏まえて選ぶことが大切です。
まとめ
一本だけ歯を失った場合でも、インプラント治療は選択可能です。周囲の歯への影響を抑えつつ自然な見た目を目指せる点や、噛む力の安定が期待できる点はメリットですが、治療費は全額自己負担、治療期間が長くなる傾向があるなどの注意点もあります。
そのためブリッジや部分入れ歯といったほかの選択肢も視野に入れながら、自身に合った治療法を検討するのが望ましいでしょう。
歯科医院を探す際には、ベストチョイスで地域や診療内容から条件に合う歯科医院を検索する方法もあります。候補となる歯科医院をいくつかピックアップし、そのうえで直接相談してみると、より納得感のある治療選びにつながるでしょう。
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