入れ歯の入れ方・外し方は?部分入れ歯と総入れ歯の違いや管理方法も解説

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入れ歯は、基本的な入れ方と外し方を理解しておくことで、着脱時の不安を減らしやすくなります。場合によっては入れにくい、外れにくいと感じる可能性もありますが、正しい手順や対処法を知っておくことが大切です。

本記事では、入れ歯の入れ方・外し方の流れに加え、外れにくいときの対処法や管理のポイントを解説します。

入れ歯の入れ方

入れ歯は、種類によって装着の流れが異なります。正しく入れないと痛みや外れやすさにつながることがあり、落ち着いて手順を踏むことが大切です。

ここでは、部分入れ歯と、総入れ歯、それぞれの入れ方を紹介します。

  • 部分入れ歯の入れ方
  • 総入れ歯の入れ方

部分入れ歯の入れ方

部分入れ歯は、残っている歯にクラスプ(バネ)をかけて固定する仕組みです。角度がずれたまま押し込むと痛みや変形につながることがあるため、正しい位置に合わせて少しずつ入れるようにしましょう。鏡を見ながら、落ち着いて進めるとスムーズです。

【部分入れ歯の入れ方の手順】

  1. クラスプをかける歯の位置を確認する
  2. クラスプを歯に合わせるように口へ運ぶ
  3. 指で少しずつ押し込みながら固定する
  4. しっかり収まっているかを確認する
  5. 噛み合わせを確認する

部分入れ歯は、左右のバランスを取りながら押し込むと安定しやすくなります。無理に力をかけると装着しづらくなるため、落ち着いて手順を確認しながら入れましょう。

総入れ歯の入れ方

総入れ歯は、歯ぐきの粘膜に密着させることで安定させるタイプの入れ歯で、上顎と下顎をそれぞれ別々に装着していきます。

総入れ歯の入れ方の手順は、以下のとおりです。

【総入れ歯の装着の手順】

  1. 上顎の入れ歯を口内に入れ、前歯部分を押し込む
  2. 奥歯側を押し込み、密着させてから固定を確認する
  3. 下顎の入れ歯も上顎と同じ手順で入れ、固定を確認する
  4. 最後に上下が嚙み合っているかを確認する

総入れ歯は、上顎・下顎の順に入れると位置を合わせやすくなります。全体が歯ぐきに沿っているか指で軽く触れて確認しながら進めると、安定しやすいでしょう。

入れ歯の外し方

入れ歯を外す際は、指を添える位置や動かし方を意識すると外しやすくなる場合があります。

力任せに引き抜こうとすると粘膜に負担がかかることもあるため、手順を確認しながら慎重に進めましょう。

  • 部分入れ歯の外し方
  • 総入れ歯の外し方

それぞれのケースについて、見ていきます。

部分入れ歯の外し方

部分入れ歯を外すときは、クラスプ(バネ)の位置を意識し、複数箇所のクラスプを均等に外すイメージで進めるとスムーズです。片側だけを強く引っ張ると外れにくい場合があります。

【部分入れ歯の外し方の手順】

  1. 人差し指をクラスプに掛け、親指を入れ歯の下に添える
  2. 上顎の入れ歯は金具を下方向へ、下顎の入れ歯は金具を上方向へ動かす
  3. 歯と水平になるように、無理な角度をつけずにゆっくり引き上げる
  4. 片側だけでなく、必要に応じて複数のクラスプを同時に外すよう意識する
  5. 入れ歯が浮いたら、ゆっくり手前に引いて取り外す

部分入れ歯は、クラスプの位置によって外しやすさが少し変わります。方向に逆らわずに動かすと、余計な負担がかかりにくいでしょう。

総入れ歯の外し方

総入れ歯は歯ぐきへの密着で維持されるため、急に強く引き抜こうとすると外れにくいことがあります。前後に軽く揺らすように動かしながら浮かせると、負担が少なく取り外せるでしょう。下顎のほうが外しやすいため、下顎から外す方法が一般的ではありますが、人によっては上顎から外すケースもあります。

【総入れ歯の外し方】

  1. 下顎の前歯部分を軽くつまみ、奥歯側を少し浮かせる
  2. 指で前後にゆっくり動かしながら、無理のない範囲で引き上げる
  3. 下顎が外れたら、上顎の入れ歯に指を添え、前歯部分をつまんで奥歯側を浮かせる
  4. 入れ歯を少し斜めにして、口の外へゆっくり引き出す

総入れ歯は吸着が強いと外しにくい場合があります。急がずゆっくりと動きをつけることで、外れやすくなることが少なくありません。また、力を入れすぎないように慎重に外しましょう。

入れ歯着脱時の注意点

入れ歯を着脱するときは、入れ方・外し方の手順だけでなく、事前の準備や取り扱いの工夫が重要です。ちょっとした配慮で破損を防ぎやすくなり、歯ぐきへの負担を軽減できることも少なくありません。

ここでは、部分入れ歯と総入れ歯に共通する注意点と、それぞれのタイプに特有のポイントを整理して紹介します。

  • 部分入れ歯の注意点
  • 総入れ歯の注意点

部分入れ歯に関する注意点から、順に見ていきましょう。

部分入れ歯の注意点

部分入れ歯は、クラスプ(バネ)を使って歯に固定する構造のため、金具の扱い方が重要です。 クラスプは細かい調整で成り立っており、わずかな変形でも装着時の安定感に影響する可能性が否定できません。

装着するときは、まずクラスプをかける歯の位置を確かめ、金具を無理に広げたり、強く押し込んだりしないことが基本です。角度がずれたまま力を加えると、金具が変形しやすくなるため、クラスプ全体を歯に沿わせるように動かすと落ち着いて装着できます。

外すときも同様に、複数のクラスプを同時に外す意識が大切です。片側だけを強く引くと金具がねじれやすく、入れ歯の変形につながることがあります。指を添える位置や力の方向を整えながら、歯と水平に近い角度でゆっくり浮かせるようにすると、入れ歯にも歯ぐきにも負担がかかりにくくなるでしょう。

総入れ歯の注意点

総入れ歯は歯ぐき全体に広く接して維持されるため、密着具合の確認や、外すときの動かし方がポイントです。装着時は上顎から入れる方法が一般的で、上顎の入れ歯がしっかり収まることで下顎の位置も合わせやすくなります。

入れた後は指で奥歯のあたりまで触れ、浮いている部分がないかを確認しておきましょう。浮いていると、噛んだときの安定感が変わることがあります。

総入れ歯は、特に上顎の方が粘膜への密着が強くなることがあり、外すときに抵抗を感じる場合が少なくありません。 このときに力任せに引き抜くと粘膜に負担がかかったり、入れ歯自体を傷めたりする可能性があるため、前後に軽く揺らすような動きを加えて、密着を少しずつ緩めていくようにしましょう。

また、総入れ歯は見た目には問題がなくても、小さな傾きや浮きが痛みの原因になるケースが少なくありません。 着脱時に位置を確認する習慣をつけることで、不快感の早期発見につながることも期待できます。

入れ歯が外れないときに試したい対策

体調や口腔内の乾燥、入れ歯の状態などによって、いつもより入れ歯が外れにくく感じることがあるかもしれません。外れないからといって無理に引っ張ると粘膜を傷つけたり、入れ歯が変形したりするおそれがあるため、落ち着いて状況を見極めたうえで原因に合った対処法を試してみましょう。

入れ歯が外れにくくなるケースとしては、以下が考えられます。

  • 総入れ歯が強く吸着しているとき
  • 入れ歯固定剤が硬化しているとき
  • 入れ歯が変形しているとき
  • クラスプが誤った部分に引っかかっているとき

原因ごとの対処法を紹介します。

総入れ歯が強い力で吸着しているとき

総入れ歯は、粘膜に密着する構造のため、とくに上顎で吸着力が強く働くことがあります。口腔内が乾燥していると吸着がより強くなり、外れにくく感じるケースが少なくありません。

対策としては、まず口腔内をうるおすことが有効とされています。ぬるま湯で軽くうがいをすると粘膜が柔らかくなり、入れ歯と粘膜の間にわずかな隙間ができ、吸着が和らぎやすくなるでしょう。

その後、前歯側に指を添えてゆっくりと浮かせるように動かし、少しずつ吸着を弱めていきます。急に力を加えるよりも、上下または前後に小さく動かすほうが粘膜への負担を抑えられるため、焦らず時間をかけて動かすといいでしょう。

入れ歯固定剤が硬化しているとき

入れ歯固定剤(接着剤)を使用している場合、硬化した固定剤によって入れ歯と粘膜が密着したまま動きにくくなるケースが少なくありません。 このようなときは、無理に外そうとすると粘膜を痛めるおそれがあります。

まず、ぬるま湯を口に数分含んで粘膜を温めましょう。完全に溶けるわけではありませんが、固定剤が柔らかくなり外すための「遊び」が生まれる場合があります。その後、軽く揺らすようにして少しずつ浮かせると、外しやすくなるでしょう。

入れ歯が変形しているとき

入れ歯は強く噛みしめた衝撃や落下など、見た目では気づきにくい負荷によって変形することがあります。 一度わずかに歪んでしまうと、入れ歯が粘膜に引っかかったり、クラスプが通常と異なる角度で食いこんだりして、外しづらくなるケースも少なくありません。

変形によって外れにくくなっている場合、 力任せに動かすと粘膜の損傷やさらに大きな変形につながる可能性があるため、早めに歯科クリニックの受診を検討しましょう。専門的な調整を受けることで、負担の少ない状態に戻せる場合があります。

クラスプが誤った部分に引っかかっているとき

部分入れ歯の場合、クラスプ(バネ)が意図しない方向で歯に引っかかってしまい、外しづらくなることがあります。この状態で無理に引き抜くと、金具の変形や歯への負担につながりかねません。

外れないと感じたときは、入れ歯を横方向に細かく揺らすように動かし、引っかかりを緩めていきましょう。また、繰り返し同じ場所で引っかかる場合は、クラスプが歪んでいる可能性もあるため、歯科クリニックでの調整が推奨されます。

入れ歯を管理する方法

入れ歯を長く快適に使うためには、正しい方法での管理が重要です。入れ歯管理のポイントとしては、以下の点が挙げられます。

  • 毎食後、流水で洗う
  • 柔らかいブラシで丁寧にブラッシングをする
  • 外しているときは水かぬるま湯に浸ける
  • 洗浄剤を使用して洗う
  • 半年に一度は歯科クリニックで調整してもらう

では、一つずつ見ていきます。

毎食後、流水で洗う

入れ歯は細かい食べかすやプラークが付着しやすく、口内に残った汚れが細菌の温床になることがあります。 そのため、食後はできるだけ早めに入れ歯を外し、流水で大まかな汚れを落とすようにしましょう。

特に人工歯と歯ぐきの境目や、金具の周囲は汚れがつきやすい場所とされており、軽く指でなでるだけでも除去しやすくなります。

柔らかいブラシで丁寧にブラッシングをする

流水で汚れを落とした後は、入れ歯専用の柔らかいブラシを使って、細部までブラッシングしましょう。 普通の歯ブラシは硬さが強すぎる場合があり、人工歯の表面に傷がつく可能性が否定できません。

ブラッシングでは、人工歯の溝やクラスプの周りなど、細かい汚れが溜まりやすい部分を丁寧に磨きます。

外しているときは水かぬるま湯に浸ける

入れ歯は乾燥に弱く、そのまま放置すると変形しやすくなることがあります。 外している時間が長くなるときは、水かぬるま湯に浸けて保管するのが基本です。

ただし、熱湯は入れ歯の材質を変質させたり歪ませたりするおそれがあるため避けましょう。

洗浄剤を使用して洗う

日々のブラッシングに加えて、入れ歯用洗浄剤を併用しましょう。ブラシだけでは落としにくい汚れや着色、雑菌を除去しやすくなります。 洗浄剤に浸ける時間は製品ごとに異なりますが、5〜10分程度が一般的です。

洗浄後は、洗浄剤の成分が表面に残らないよう、流水でしっかりとすすいでから使用します。

半年に一度は歯科クリニックで調整してもらう

入れ歯は長期間使っていると、歯ぐきの形の変化や噛み合わせの変化によって徐々に合わなくなってくることが少なくありません。そのため半年に一度を目安に、歯科クリニックでチェックを受けるようにしましょう。

違和感が小さいうちに調整してもらうことで、痛みや外れやすさを防ぎ、快適さを保ちやすくなることが期待できます。

まとめ

入れ歯は毎日の生活に欠かせない存在で、着脱の動かし方や日々の管理によって使い心地が変わることがあります。装着や取り外しを慌てずに行い、こまめにお手入れを続けることで、衛生的な状態を保ちやすくなるでしょう。また、少しずつ歯ぐきや噛み合わせが変化するため、定期的に歯科クリニックで調整を受けることも大切です。

入れ歯の扱いで調整や相談をしたい場合は、自身の希望に合った歯科クリニックを選ぶことが重要になります。 歯科クリニックの特徴や診療内容を比較して探したい方は、エリア別にクリニック情報を掲載しているポータルサイト「ベストチョイス」を活用すると便利でしょう。気になる内容を事前に確認しながら、自身に合ったクリニックを見つけやすくなります。

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ベストチョイス編集部
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