マウスピース矯正で前歯だけの値段相場は?部分矯正の費用や注意点

マウスピース矯正を前歯だけに実施する場合の値段は、10万〜60万円が相場です。矯正する部分が限定されるため、歯全体の矯正よりも安価に治療ができるでしょう。
本記事では、マウスピース矯正を部分的・全体的に実施する場合の値段相場をまとめました。また、前歯だけの矯正を実施できるケースや注意点も解説します。
マウスピースは前歯だけでも矯正できる
マウスピース矯正は前歯だけに実施することも可能です。ただし、歯科クリニックによっては対応していないこともあるため、前歯だけのマウスピース矯正を希望するときは、事前に確認しておきましょう。
通常「前歯」とは、最前部にある上下8本の「切歯」と、切歯の左右にある4本の「犬歯(糸切り歯)」を合わせた、合計12本の歯のことです。前歯だけのマウスピース矯正では、12本の前歯全体が治療対象となりますが、マウスピース自体は歯列全体に装着します。そのため、治療したい歯以外もマウスピースで覆われることになり、見た目も全体の矯正治療と変わりありません。
前歯だけのマウスピース矯正に適した症例
前歯だけに歪みやずれなどが見られる場合でも、すべてのケースにおいて前歯だけのマウスピース矯正を実施できるわけではありません。一般的には、次の症例において前歯だけのマウスピース矯正が実施されることがあります。
- すきっ歯
- 軽度の歯並びのずれ
- 矯正後の後戻り
ただし、歯並びや歯の状態は個人差があるため、紹介した症例に当てはまる場合でも、前歯だけの矯正を実施できるとは限りません。歯科医師と相談の上、適切な矯正方法を選択してください。
それでは、各症例について見ていきましょう。
すきっ歯
前歯に少しだけ隙間がある「すきっ歯」の場合、前歯以外にゆがみや隙間が見られないなら、前歯だけのマウスピース矯正で治療を実施できることがあります。わずかに隙間が見られる軽度のすきっ歯なら、短期間で矯正治療が完了する可能性もあるでしょう。
軽度の歯並びのずれ
前歯だけ出ているいわゆる「出っ歯」や、歯が折り重なるように生えている「乱ぐい歯」なども、前歯だけのマウスピース矯正で治療ができることもあります。ただし、前歯のずれを治すことで、前歯以外もずれが生じる場合には、全体的な矯正治療が必要になる可能性があるでしょう。
矯正後の後戻り
矯正治療は一度完了すれば終わりではありません。リテーナー(保定装置)で歯を正しい位置に移動させた後、その位置を安定させるために行う処置である「保定」をしていない場合や、矯正中や矯正後に親知らずが生えた場合、事故やケガにより歯に衝撃を受けた場合などは、整えた歯並びがずれたり後戻りしたりする可能性があります。
矯正後に前歯に歪みが発生したときは、前歯だけのマウスピース矯正で対応できるかもしれません。ただし、歪みが全体に見られるときや、前歯の歪みを治すと奥歯にも影響が生じるときは、全体的な矯正治療が必要と判断されることもあります。
【前歯だけ・歯全体】マウスピース矯正の費用相場
前歯だけと歯全体の費用相場を比較しました。
前歯だけのマウスピース矯正 | 歯全体のマウスピース矯正 | |
---|---|---|
値段相場 | 10万~60万円 | 50万~150万円 |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
前歯だけをマウスピース矯正で治療する場合の費用は、10万~60万円が相場です。歯の状態によっては治療内容や期間が大きく異なるため、値段の差が生じます。
また、前歯以外の部分だけをマウスピースで矯正治療する場合も、費用相場は10万~60万円です。歯全体のマウスピース矯正よりは値段が低めですが、クリニックによって大きく異なる点に注意しましょう。
ただし、値段が安ければよいというものではありません。患者さん一人ひとりの歯の状態や希望を丁寧に調べ、綿密なプランを立てて慎重に治療を進めていくクリニックかどうか見極めることが必要です。
一方、歯の状態や治療期間、クリニックによっても異なりますが、歯全体のマウスピース矯正の費用は50万~150万円が相場といわれています。治療方法や値段はクリニックごとに変わるため、できれば複数のクリニックを比較してから矯正治療を開始するようにしてください。
矯正後のトラブルを回避するためにも、メンテナンスやアフターサービスもチェックしておきましょう。後戻りする場合は再度矯正治療が必要になることもあり、かえって値段がかさむ恐れもあります。
マウスピースで部分矯正するメリット
マウスピースで前歯などの一部のみを矯正することには、次のメリットがあります。
- 矯正期間を短縮できることがある
- 費用を抑えられることがある
- 治療中に虫歯になりにくい
各メリットについて見ていきましょう。
矯正期間を短縮できることがある
矯正箇所が限られることで、歯全体のマウスピース矯正よりも短期間で治療が完了することがあります。矯正中は歯が動くことやマウスピースの装着により違和感を覚えることがあるため、治療期間を短縮できる可能性があるのはメリットといえるのではないでしょうか。
また、マウスピースの調整や歯の状態をチェックするために、治療期間中は定期的にクリニックに通院しなくてはいけません。クリニックや治療内容によっても異なりますが、2ヶ月~3ヶ月に1回は通院することが必要です。月に1回程度のワイヤー矯正(ブラケットを装着する一般的な矯正)と比べて通院頻度が少ない傾向にあるため、通院の負担も軽減できるでしょう。
費用を抑えられることがある
マウスピース矯正の費用が一律に決まっているクリニックもありますが、治療前検査やマウスピース作成費用とは別に、通院の度に調整費用などがかかるクリニックもあります。通院の度に費用がかかる場合は、1回あたり3,000~10,000円程度の支払いが必要です。
前歯だけの部分矯正なら治療期間が短縮されることもあるため、通院の度にかかる費用を抑えられ、費用総額も減らせるかもしれません。
治療中に虫歯になりにくい
マウスピース矯正では、矯正期間中はマウスピースを取り外して歯を磨きます。マウスピースは簡単に取り外せるため、普段通りに歯磨きができ、虫歯を回避しやすいと考えられるでしょう。
一方、ワイヤー矯正では、患者さん自身で取り外しができないブラケットとワイヤーを装着します。丁寧にケアしているつもりでも、磨き残しが生じ、虫歯になってしまうかもしれません。
マウスピースで部分矯正する際の注意点
マウスピースで前歯だけを矯正治療することには、期間面や費用面などのメリットがあります。しかし、次の点には注意が必要です。
- 理想の歯並びにならない可能性がある
- 全体の矯正が必要になることがある
- 後戻りする可能性がある
注意点を理解してからマウスピースによる部分矯正を始めていきましょう。各ポイントを解説します。
理想の歯並びにならない可能性がある
前歯だけに問題があるように見えても、実際は全体的に歪んでいるケースも少なくありません。そのため、マウスピース矯正で前歯の歯並びを整えても、理想とするような状態にならない可能性があります。
理想とする歯並びを実現するためにも、矯正後の状態を丁寧にシミュレーションするクリニックを選びましょう。また、治療中に見た目や歯の状態に違和感があるときは、早めに歯科医師に伝えることも大切です。
全体の矯正が必要になることがある
「前歯だけをマウスピースで矯正治療したい」とクリニックに相談しても、必ずしも部分矯正を実施してもらえるとは限りません。歪みの原因が前歯以外にある可能性も想定されるため、歯科医師が「全体の矯正が必要」と判断するケースもあります。
マウスピースで歯全体を矯正治療する場合には、予定していたよりも治療期間が長引いたり、値段がかさんだりするかもしれません。しかし、前歯以外の調整が必要なケースで無理に部分矯正を実施すると、理想とする歯並びにならないことや短期間で後戻りする可能性もあるため、歯科医師と相談して納得できる選択をすることが大切です。
後戻りする可能性がある
マウスピースで歯の一部だけを整えたことにより、全体に歪みが生じることもあります。矯正終了後に後戻りしたり、期待するような歯並びにならずに再度矯正治療が必要になったりするかもしれません。前歯だけ、奥歯だけのように部分矯正するときは、信頼できるクリニックで矯正後の歯並びについても丁寧にシミュレーションしてもらうようにしましょう。
整えた歯並びをキープするためにも、矯正治療後の管理が大切です。クリニックを選ぶときは、矯正治療後に定期的にメンテナンスをするか、リテーナーを作成してくれるかなどもチェックするようにしましょう。
一般的に、リテーナーは長期にわたって装着することが求められます。歯科医師の指示に従い、期間内は装着するようにしてください。
また、装着中に痛みがあるときや歯がずれて装着しにくくなったときは、早めにクリニックに相談することも大切です。矯正治療によって整えた歯並びを長持ちさせるためにも、継続的なメンテナンスとリテーナーの装着を心がけましょう。
まとめ
前歯だけに歪みや隙間が見られるときは、前歯だけのマウスピース矯正が可能になることもあります。マウスピースによる部分矯正を実施しているクリニックに相談し、どのような治療ができるのか尋ねてみましょう。
前歯だけをマウスピース矯正する場合、全体矯正よりも費用や期間、虫歯になるリスクを抑えられることもあります。詳しくは以下もご覧ください。
関連記事:前歯だけの矯正ってできる?メリットや治療方法を解説
また、以下から、前歯だけのマウスピース矯正について相談ができる歯科医院をチェックできます。ぜひご覧になり、クリニック選びの参考にしてください。
- 北海道
- 東北
- 関東
- 中部
- 近畿
- 中国
- 四国
- 九州