マウスピース矯正は痛い?痛みを感じる理由や対処法を解説

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Index目次

マウスピース矯正は痛みが少ない矯正方法といわれています。ただし、正しい使い方をしていないことや、歯根膜や粘膜への刺激により痛みを感じるケースもあるようです。

本記事では、マウスピース矯正の概要や痛みを感じる理由のほか、痛みへの対処法や痛みがあるときにやってはいけない行為を解説します。

マウスピース矯正はどのくらい痛むのか

マウスピース矯正は、歯科矯正の中でも痛みが少ないといわれる方法です。

マウスピース矯正では、7~10日に1度の間隔でアライナー(マウスピース)を交換します。歯を少しずつ移動させるため、歯に大きな負荷がかからず、我慢できないほどの痛みになることはほとんどありません。

食事の際はマウスピースを外せるため、噛み合わせによる痛みが生じることもないでしょう。ただし、マウスピースによる歯への圧迫感や違和感を痛みとして感じる人がいるようです。

ワイヤー矯正との比較

痛みのポイント ワイヤー矯正 マウスピース矯正
装置装着直後の痛み ワイヤーを一気に締めるため、数日間強い痛みが出やすい アライナーを7〜10日ごとに交換するため、圧迫感はあるが強い痛みはまれ
痛みの継続・頻度 調整後しばらく痛みが集中して続く 歯を徐々に動かすので痛みが分散される
咀嚼時の痛み 噛み合わせでも痛みが生じやすい 食事時にマウスピースを外せるため噛む痛みは少ない
装置による口内への刺激 ブラケットやワイヤーが当たりやすく口内炎になりやすい 滑らかな素材だが、縁が当たって口内炎ができることもある

痛みが強ければ矯正しやすいわけではない

痛みが強いからといって、歯がより速く動くわけではありません。ワイヤー矯正の方が痛みが強い傾向にあるものの、その痛みには「食事での噛み合わせ」や「矯正装置が口内に当たる」など、歯の移動以外の要因も含まれます。

一方、マウスピース矯正で感じる痛みは「歯の移動そのものの痛み」です。大きく歯を移動させるワイヤー矯正と、段階的に歯を動かすマウスピース矯正では、痛みの強さと質が異なります。

ただし、1か月で動かせる歯の距離は、どちらの矯正方法でも同じです。痛みがあれば、必ずしも治療が進んでいるわけでは無いことを理解しておきましょう。。

マウスピース矯正で痛みを感じる理由

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正よりも痛みが少ないものの、痛みを感じる場合もあります。マウスピース矯正で痛みを感じる理由として挙げられるのは、表のとおりです。

理由 痛みが生じる主な状況・特徴 主な対処ポイント
歯が圧迫されている 新しいマウスピース装着後 1〜2日、顎間ゴム使用時などに圧迫感・痛みが強まる 指示どおり装着時間を守り、保定装置も適切に使って後戻りを防ぐ
歯根膜が敏感になっている
  • 歯の移動で歯根膜が伸縮し、一時的に刺激に敏感
  • 硬い物を噛むと痛みが増す
痛みが強い間はやわらかい食事を選ぶ
粘膜が刺激される アタッチメントやマウスピースの端・フィット感のズレが粘膜に当たり口内炎ができる 装置(縁・アタッチメントなど)の当たりが気になる場合は歯科医に調整を依頼

マウスピース矯正時の痛みへの対処法

マウスピース矯正時の痛みへの対処法として、以下の8つが挙げられます。

  • 軟らかい食べ物を食べる
  • 歯と歯茎をマッサージする
  • 以前使用していたマウスピースに戻す
  • マウスピースの尖っている部分を削る
  • 器具を使ってマウスピースを着脱する
  • マウスピースを定期的に洗浄する
  • 定期的に受診する
  • 痛み止めを服用する

ここでは、それぞれの対処法について解説します。

1.軟らかい食べ物を食べる

マウスピース矯正中の痛みを和らげる方法のひとつは、軟らかい食べ物を選ぶことです。矯正中は歯根膜が敏感になっているため、硬いものや噛み切りにくいものを食べると痛みが増すことがあります。

お粥やゼリー、スープなど、なるべく噛まなくても飲み込めるものに変更すれば歯への負担が減り、痛みが緩和されるでしょう。具体的には、以下のような食事がおすすめです。

  • 麺類(軟らかく煮たうどん・そうめんなど)
  • 蒸しパン
  • 牛乳やコーヒーなどの液体にひたしたパン
  • マッシュポテト
  • 煮込み料理(ポトフ・肉じゃが・シチュー・おかゆ・リゾットなど)
  • 軟らかい玉子料理(オムレツやスクランブルエッグ、茶碗蒸しなど)
  • 豆腐
  • ヨーグルト

ただし、プリンやケーキ、アイスクリームなどの砂糖が多く含まれる食べ物は、口腔内の細菌を活発化させます。虫歯や歯周病が進行しやすくなるため、摂取は控えるのが賢明です。

2.歯と歯茎をマッサージする

歯と歯茎を優しくマッサージすることにより血行が促進され、不快感が和らぐことがあります。痛みを押し付けるような強い圧力は避け、指の腹や柔らかい歯ブラシを使用して、歯茎を中心に優しくマッサージしましょう。歯と歯茎のケアは、痛みの緩和だけでなく、歯茎の健康維持にもつながります。

3.以前使用していたマウスピースに戻す

新しいマウスピースへの交換タイミングが早すぎることが原因で痛みが生じているケースは珍しくありません。新しいアライナーに交換して強い痛みが続く場合、一時的にひとつ前のマウスピースに戻すのもひとつの方法です。

数日間、ひとつ前のマウスピースを装着すれば、歯が適切に移動し、新しいアライナー装着時の痛みが緩和されます。ただし、この対応は自己判断で行わず、必ず歯科医師に指示を仰いでください。

4.マウスピースの尖っている部分を削る

マウスピースの縁が当たって痛むときは、尖っている部分を調整することにより痛みが改善するかもしれません。マウスピースの中には、製造過程でわずかな研磨不足が生じ、装着時に口内で当たって気になることがあります。

これを放置すると、同じ場所が擦れて痛みや口内炎の原因につながりかねません。紙やすりなどでマウスピースの突出部や気になる部分を磨いて削るとよいでしょう。歯科医院でも調整してもらえます。

5.器具を使ってマウスピースを着脱する

マウスピースの着脱に専用の器具(リムーバー)を使用すると、口腔内への刺激を減らせます。マウスピースは歯に密着しているため、慣れないうちは取り外しが難しく感じることがあるでしょう。

リムーバーを使用すると、アタッチメントが邪魔になったり、爪で粘膜を傷つけてしまったりするのを防げます。着脱はゆっくり丁寧に行い、マウスピースやアタッチメントの破損を防ぎましょう。

マウスピースを無理やり着脱するとアタッチメントが外れてしまう可能性があります。アタッチメントが外れると矯正効果が弱まる可能性があるため、取り扱いには注意しましょう。

6.マウスピースを定期的に洗浄する

マウスピースを清潔に保つことにより、歯茎への刺激が減少し、虫歯のリスクも低くなります。毎食後、少なくとも水でうがいをし、1日に1回は柔らかいブラシや指で優しく洗い、ぬるま湯で洗い流しましょう。さらに、2~3日に1回は専用の洗浄液につければ、より衛生的な状態を保てます。

7.定期的に受診する

定期的な歯科医師のチェックは、痛みを軽減し、問題を早期に発見するために不可欠です。歯科医師の診察により、マウスピースの不適切なフィットやその他の問題を早期に察知し、必要な調整をしてもらえます。

痛みが強い場合は、治療計画を見直しが必要です。マウスピース1枚あたりの歯の移動量を減らしてステップ数を増やすことにより、歯にかかる力を弱め、痛みの軽減につながります。

定期的な受診は口腔内の衛生状態の点検もできるため、虫歯発生リスクが低減することもメリットです。

8.痛み止めを服用する

痛みが強く、日常生活に支障が出る場合は、歯科医師に相談のうえで痛み止めを服用することもひとつの対処法です。痛み止めには炎症を抑える成分が含まれており、一時的に痛みを緩和します。

ただし、長期間の常用は、抗炎症成分が骨の代謝を妨げ、歯の移動を遅らせる可能性があるため注意が必要です。痛み止めが必要な場合は、口内になんらかのトラブルが発生しているサインかもしれません。自己判断での内服は避け、歯科医師の指示のもとで服用しましょう。

痛みがあるときにやってはいけない行為3選

痛みがあるときにやってはいけない行為として挙げられるのは、以下の3つです。

  • マウスピースを長時間外す
  • 刺激を与える
  • 医師の指示なく市販の痛み止めを服用する

ここでは、それぞれの行為について解説します。

1.マウスピースを長時間外す

痛みを感じるからといって、マウスピースを長時間外してしまうと、矯正治療の進行に悪影響が出る恐れがあります。マウスピース治療は、定められた装着時間を守ることにより計画どおりに歯を動かす治療法です。

治療中にマウスピースがはまりにくく感じたり、違和感を覚えたりしても、できるだけ長時間装着し続けましょう。痛みを理由に長時間外した場合、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こり、再度装着した際にさらに強い痛みを感じるかもしれません。

一時的に外す場合でも、できるだけ短時間にとどめ、可能な限り早く再装着しましょう。

2.刺激を与える

マウスピース矯正中の歯は、力を加えられて動いているため不安定な状態です。この時期に不必要な刺激を与えると、痛みを増強させる可能性があります。

硬いものや噛みごたえのあるものを食べた場合、動いている歯に余計な力がかかり、痛みを感じやすくなるでしょう。患部を冷やすと血流が悪くなり、歯の移動が妨げられる可能性があります。逆に、温めすぎると血流が良くなりすぎて痛みが増す可能性があるため注意が必要です。

矯正中の歯には、できるだけ負担をかけないようにすることが求められています。

3.医師の指示なく市販の痛み止めを服用する

医師の指示なく市販の痛み止めを服用した場合、矯正治療に影響を与える可能性があるため注意が必要です。矯正治療は、人為的に軽微な炎症を起こして歯を移動させます。抗炎症作用の強い痛み止めを頻繁に服用すると、この炎症が抑えられてしまい、結果として歯が動きにくくなるかもしれません。

市販薬の中には胃腸に負担をかけるものもあります。痛みが強くて痛み止めが必要な状況は、何らかのトラブルが発生しているサインかもしれません。痛みが気になる場合は、自己判断で市販薬に頼るのではなく、まず歯科医師に相談しましょう。

まとめ

マウスピース矯正は、7~10日のスパンで何十枚ものアライナーを交換し、徐々に歯を動かすため、歯科矯正の中でも痛みが少ない矯正法です。しかし、歯が圧迫されている場合や、粘膜が刺激される場合のほか、敏感になっている歯根膜への刺激により痛みを感じることがあります。

痛みを感じた際は、本記事の対処法を参考にするとよいでしょう。痛みが治まらない場合は、早めの歯科医師への相談が必要です。

以下で紹介するページでは、矯正治療の相談を希望する方に向けた歯科医院の一覧を、参考情報として掲載しています。情報収集の一環としてご利用ください。

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