マウスピース矯正で出っ歯の改善は可能？治療期間や注意点を解説

改善が期待できるかどうかは出っ歯の原因による

マウスピース矯正で出っ歯を改善できるかどうかは、出っ歯の原因や状態によって変わります。歯並びの乱れが主な原因で、かつ奥歯でしっかり噛み合っている軽度の出っ歯であれば、マウスピース矯正によって改善が見込まれる場合もあるでしょう。

一方で、次に紹介するように、マウスピース矯正では治療が難しいケースもあります。

虫歯・歯周病のリスクが高まる

出っ歯を放置することで、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。出っ歯は前歯が前方に飛び出していることによって、口を自然に閉じにくくなる傾向があるためです。その結果、日常的に口が開いたままになりやすく、口呼吸が習慣化しやすくなるでしょう。

口呼吸が習慣化すると口内が乾燥しやすくなり、唾液による自浄作用や抗菌作用が十分に働かなくなります。そのため、虫歯や歯周病にかかる確率が大きくなるでしょう。

噛み合わせが悪くなる

出っ歯は上の前歯が前方に突き出ているため、上下の前歯が正常に噛み合わなくなります。その結果、前歯でうまく食べ物を噛み切ることができず、噛み合わせ全体のバランスが崩れやすくなるでしょう。

奥歯での咀嚼にも悪影響を及ぼし、咀嚼機能全体の低下につながるおそれがあります。長期的には、消化機能の低下につながるリスクもあるでしょう。

顎関節症になりやすい

出っ歯が原因で噛み合わせが悪化すると、それにより顎関節症のリスクが高まる可能性があります。噛み合わせのバランスが崩れ、咀嚼のたびに顎関節に過剰な負担がかかるためです。これが長期的に続くと、顎関節症を発症するおそれがあるでしょう。

顎関節症とは、顎の関節や周囲の筋肉に炎症や機能障害が生じる疾患です。口を開け閉めする際に顎が痛む、口が大きく開けられないなどの症状が現れます。

矯正の効果はマウスピースの装着時間に左右される

マウスピース矯正は、装着時間によって効果が大きく左右される治療法です。1日20時間以上の装着が推奨されており、それを下回ると歯の移動が遅れ、治療期間が延びる可能性があります。

たとえば、ワイヤー矯正は歯科医師が固定式の装置を取り付けるため、患者さん自身で取り外すことはできません。これに対し、マウスピース矯正は患者さんが1〜2週間ごとに自分で装置を交換し、食事や歯磨きの際に自由に取り外せる仕組みです。

そのため、装着していない時間が長くなると計画通りに歯が動かず、矯正効果が低下するリスクがあります。矯正治療を計画に沿って進めるためには、継続的な装着と自己管理が求められるでしょう。

食事の際は必ずマウスピースを外す

マウスピース矯正では、食事の際に必ずマウスピースを外す必要があります。マウスピースはあくまで矯正目的で設計されており、食事の際の強い咬合力に耐える構造ではありません。

そのため、装着したまま食事をすると、割れたり変形したりするリスクがあるでしょう。

また、マウスピースを着けたまま食事をした場合、食べ物のカスや油分が付着し、細菌が繁殖しやすくなって虫歯や歯周病のリスクを高めます。

飲み物は、基本的にマウスピースをつけたままでも問題ありません。ただし、ジュースなど糖分を含む飲み物は避けましょう。歯とマウスピースの間に糖分が残ると、虫歯の原因になります。

また、熱い飲み物はマウスピースの変形につながる可能性があるため、飲む際はマウスピースを外すようにしてください。