インプラントは痛い?治療中から治療後の痛みの原因や対処法を解説
失った歯の治療には、天然歯と変わらない見た目や機能性を持つ「インプラント」がおすすめです。しかし、「インプラント治療は痛い」と聞いたことがあり、治療を悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、インプラント治療における痛みについて詳しく解説します。手術後の痛みを和らげる生活のポイントや、インプラント治療から数年後に痛みが出る原因と対処法などもお伝えするので、インプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療で感じる痛みの種類
インプラントは手術を伴う治療のため、下記4つの過程で痛みを感じやすいです。
- 手術前の局所麻酔の痛み
- 手術後の痛み
- 抜歯時の痛み
- 骨造成手術後の痛み
実際にインプラントを埋入したことのある患者さんの中には、「インプラント治療は痛い」といった感想を抱いている方も少なくありません。痛みの強さや感じ方は人それぞれ異なるため、「それほど痛いとは感じなかった」という方もいるでしょう。
では、どの程度の痛みなのか、下記で詳しく解説します。
手術前の局所麻酔の痛み
インプラント治療で痛いと感じる初めの過程に、手術前の局所麻酔が挙げられます。局所麻酔は神経が多くある歯茎や粘膜に注射針を刺すため、神経を刺激したときの痛みです。これが、「歯医者の麻酔は痛い」と言われる原因。また、麻酔液を注入するときにも痛みを感じやすいと言われています。
局所麻酔の痛みに対しは、注射針を刺す前に歯茎に表面麻酔を塗布して注射針を刺す時の痛みを緩和するほか、電動麻酔注入器を使用して麻酔液の注入時の痛みを和らげる対策を実施している歯医者が多いです。痛みに弱い方は、事前に伝えておくことで様々な対策を施してくれるでしょう。
手術後の痛み
インプラントの手術中は麻酔が効いているので、痛みを感じる方はほとんどいません。しかし、手術後は麻酔の効力が失われてくるため、痛みを感じやすくなります。手術ではインプラントを埋入するにあたり歯茎を切開したり顎の骨を削ったりするため、手術後の痛みはどうしても生じてしまうでしょう。
また、インプラントを埋入する本数が多ければ多いほど痛みを強く感じる場合があるほか、歯茎に腫れが生じることも少なくありません。手術後の痛みは抜歯したときと同程度と言われていますが、時間の経過とともに痛みや腫れも治まっていきます。
抜糸時の痛み
インプラントの手術では歯茎の切開が行われ傷口を縫うといった工程があり、手術してから約1週間で抜糸が行われます。抜糸は無麻酔で実施するのが一般的で、処置時間も極わずかで済む軽い処置です。そのため、実際にインプラント治療で抜糸を経験した方からは「チクチクした痛みは感じるけど、さほど痛くない」との感想が多く寄せられています。
しかしながら、抜糸時の痛みの度合いは傷口の状態や術後の経過日数などによっても異なるので、痛みが心配な方は負担を抑える方法があるのかなど歯科医師とよく相談したうえで抜糸を行うようにしましょう。
骨造成手術後の痛み
骨造成手術はインプラントを埋入するにあたり、顎の骨量が足りない方に施される手術です。インプラント手術と同様に、手術中は麻酔が効くため痛みはほとんど感じません。しかし、通常のインプラント手術よりも治療範囲が広いため、手術後に強い痛みを感じたり痛みの期間が長かったりします。
痛みの度合いは人それぞれ異なり、口コミでは「痛み止めが効かないほど痛い」「一晩で痛くなくなった」など、個人差がありました。骨造成手術後の痛み対しては、多くの方が痛み止めを服用して対策しています。
インプラント手術後に痛みが続く期間と対処法
インプラント治療における痛みの種類について解説してきましたが、ここでは痛みが続く期間と対処法を下記4つにわけてお伝えします。
- 術後2~3日目が痛みのピーク
- 骨造成の手術後は1~2週間ほど痛みが続く
- 対処法は痛み止めの服用
- 痛みが長引く場合はすぐに歯医者へ相談
インプラント治療で痛みを感じやすいのは、麻酔の効力がなくなった手術後です。では、痛みが続く期間や対処法について詳しく見ていきましょう。
術後2~3日目が痛みのピーク
インプラント手術後の痛みのピークは2~3日で、長く続いても1週間です。また、術後は患部が腫れる場合もありますが、痛みと同様に腫れも2~3日をピークに1週間程で徐々に治まっていきます。
手術後は安静が求められるため、手術の翌日は仕事を休むなどの対応が望ましいでしょう。また、痛みのピークを迎える2~3日間は安静に過ごした方が回復も早まると言われているので、インプラント手術を受ける場合はスケジュール管理も大切です。
骨造成の手術後は1~2週間ほど痛みが続く
骨造成手術後の痛みは、1~2週間続くと言われています。また、骨造成手術後は痛みの他に、患部が腫れることも少なくありません。腫れに関しては術後2~3日目がピークで、1週間ほどで治まるのが通常です。腫れが酷い場合は、患部を冷やすことで緩和が期待できます。
インプラント治療をするにあたり骨造成手術が必要な方は、痛みの期間が少々長くなることを想定しておきましょう。
対処法は痛み止めの服用
インプラント手術後の痛みに対する主な対処法は、痛み止めの服用です。ほとんどの方が痛み止めを服用することで術後の負担を抑えられるため、痛みに対する悩みは解消されるでしょう。また、骨造成手術後の痛みも同様で、痛み止めの服用で対応します。
処方される痛み止めはロキソニンが一般的ですが、歯科医院によって処方する種類は異なります。カロナールを処方する歯科医院もあるため、「効きが悪い」などの理由で希望する痛み止めの種類がある方は、あらかじめ歯科医師に伝えておきましょう。
痛みが長引く場合はすぐに歯医者へ相談
インプラント手術後の痛みは長くても1週間程度で治まるのが通常ですが、痛み止めを服用しても痛みが治まらなかったり痛みが1週間以上続いたりする場合は、術後の痛み以外の原因が考えられます。例えば、何かしらの影響で傷口が炎症を起こしているなどです。
その他にも、腫れが引かなかったりいつまでも出血していたりするなど、「何かおかしいな」といった症状がある場合は、早めに歯医者へ相談しましょう。
インプラント手術後の症状を和らげるための生活ポイント
ここでは、インプラント手術後の痛みを和らげる下記4つの生活ポイントをお伝えします。
- 辛い物や硬い食べ物は避ける
- 飲酒と喫煙は痛みを増す原因になる
- 入浴や過度な運動は控える
- 患部は優しく歯磨きをする
手術後は上記に記載した生活ポイントを守りながら日常を過ごすことで、痛みの緩和だけでなく傷口を早く治すことにも繋がるので、ぜひ覚えておいてください。それでは、詳しく解説します。
辛い物や硬い食べ物は避ける
辛い物や硬い食べ物は患部を刺激するため、痛みや腫れを増す原因になります。また、スープやみそ汁など熱い食べ物も同様。術後1週間は痛みや腫れが続く可能性があるので、食べないようにしてください。その他にも、ガムなど粘度が高い食べ物も患部へ悪影響を与えるので控えましょう。
術後は強く噛む必要がないうどんなど柔らかい食べ物が推奨されており、患部とは反対側の歯で噛むようにします。このように、患部へ刺激を与えないようにすることが症状を和らげるポイントです。
飲酒と喫煙は痛みを増す原因になる
アルコールは血行を良くする働きがあり、術後に摂取すると止血しにくく出血が長引く原因になります。逆に喫煙は血行を悪くさせる働きがあり、痛みが増すほか患部の治りを遅らせる原因になると言われているため、飲酒も喫煙も術後1~2週間は控えるようにしてください。
また喫煙による血流の悪さは、インプラント体と顎の骨との結合にも悪影響を与えるとの見解もあります。つまり、インプラント体がしっかり定着しないため手術の成功率が下がる可能性があるので、術後だけでなく手術前からの禁煙を推奨している歯科医院が多いです。
入浴や過度な運動は控える
入浴や運動も血行を良くする行為になるため、インプラントの手術後は控えるのが望ましいです。特に、痛みのピークとされている術後2~3日間は安静にする期間のため、シャワーで済ませるほか必要最低限の行動で過ごすようにしましょう。
術後は患部の治りや症状を和らげることを最優先にして、痛みや腫れ、出血が治まってから入浴や運動を再開するのがおすすめです。
患部は優しく歯磨きをする
インプラント手術後の歯磨きは、患部を刺激するため治りを遅くする可能性があると言われています。そのため、術後1週間は患部の歯磨きは控えることが望ましいとされていますが、汚れが付着したままの状態は衛生的にも良くありません。歯ブラシは柔らかい毛のものを使用し、患部は優しく磨くことを心がけてください。
患部に痛みや腫れが生じているときは無理に歯磨きをするのではなく、マウスウォッシュなどで口腔内を清潔に保つのもおすすめです。患部の状態を考慮しながらにはなりますが、抜糸後は通常通りの歯磨きが行えるようになります。患部以外の歯は、術後でも通常通りの歯磨きが可能です。
インプラント治療から数年後に痛みが出る原因と対処法
インプラント治療から数年後に痛みが出る原因には、下記の4つが考えられます。
- インプラント周辺部の炎症
- 噛み合わせの不具合
- インプラント体と骨の間にひび割れが起こる
- 他の歯がトラブルを起こしたとき
インプラントも天然歯と同様に日頃のケアや歯医者で行われる定期的なメンテナンスを怠ると、痛みが生じる様々なトラブルを引き起こします。下記でそれぞれの原因と対処法について解説するので、見ていきましょう。
インプラント周辺部の炎症
インプラントを埋入した箇所の周辺部に起こる炎症が原因で、痛みが発症します。インプラント周囲炎とも呼ばれており、症状が悪化すると顎の骨や歯茎にまで悪影響を及ぼし、インプラントが脱落することもあるため注意しなければいけない疾患です。
インプラント周辺部の炎症は、磨き残しがあったり歯科医院でのメンテナンスを受けなかったりすることが主な原因。対処法は、毎日のケアをしっかり行うことと定期的なメンテナンスには欠かさず通うことです。
噛み合わせの不具合
インプラント治療から数年後に痛みが生じる原因には、噛み合わせの不具合も挙げられます。例えば、加齢によって歯や歯茎に変化が見られたとき、埋入したインプラントとの噛み合わせに不具合が生じるなどです。噛み合わせが悪い状態で「噛む」という行為を続けるとインプラントへの負担が増し、そのうちに痛みを感じるようになります。
痛みを感じたら放置せずに、早めに歯科医院へ受診しましょう。
インプラント体と骨の間にひび割れが起こる
インプラント体と骨の間にひび割れが起こると、痛みが生じます。ひび割れは、歯ぎしりや噛む力が強いなど過度な負荷が主な原因です。ひび割れを回避するには、歯ぎしり対策や強く噛む癖を治すなど、インプラント体に負荷をかけないことが推奨されています。
ひび割れを放置しておくと痛みが強くなる可能性があるほか、インプラントの脱落にも繋がるので早めの受診と治療が望ましいです。
他の歯がトラブルを起こしたとき
インプラントを埋入した箇所の周囲にある歯が、むし歯や歯周病といったトラブルを引き起こすと痛みを感じやすいです。特に、インプラントの隣の歯にトラブルが発生すると「インプラントが痛いかも」と勘違いすることもあります。いずれにしても、痛みを感じる場合は何かしらの原因があるため、歯科医院で検査してもらいましょう。
まとめ
インプラント治療に伴う痛みについて解説してきましたが、特に痛いと感じやすいのは手術後です。術後1週間程度で痛みは治まってくるのが一般的ですが、痛み止めが効かなかったり1週間以上痛みが続いたりする場合は、他の原因が考えられるため、早急に歯科医院で診てもらいましょう。
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