インビザラインとマウスピースの特徴と比較

Xアイコン
facebookアイコン
LINEアイコン
Index目次

目立たない歯科矯正治療として日本でも注目が高まっている「インビザライン」。透明なマウスピース型装置を使用した矯正治療で、各国で1,500万人以上(2023年3月時点)の治療数を誇ります。

今回は、インビザラインの特徴やメリット・デメリット、費用、治療の流れなど、初めての方にも分かりやすいように詳しく解説しました。

インビザラインとは

インビザラインは、アメリカのアライン・テクノロジー社が開発した、透明なマウスピース型の矯正装置です。各国で最も多くの治療例を持つマウスピース矯正システムとして知られます。

従来のワイヤー矯正とは異なり、透明で目立たないため、周囲に気づかれずに矯正治療を行える点が大きな特徴です。

はじめに、インビザラインのメリット・デメリットから知っていきましょう。

インビザラインのメリット

インビザラインの主なメリットは、以下の通りです。

  • 目立たない:透明なマウスピースなので、装着していてもほとんど気づかれません。人前に出る仕事の方や、矯正装置を目立たせたくない方にも適切です。
  • 取り外しが可能:食事や歯磨きの際は取り外せるため、口腔内を清潔に保ちやすく、普段通りの食事を楽しむことができます。ワイヤー矯正のように食べ物が装置に詰まる心配もありません。
  • 負担が少ない:ワイヤーやブラケットを使用しないため、口内炎などのトラブルが少なく、快適に治療を進められます。矯正器具は、患者さん個々人の歯型に合わせてカスタムメイドされるため、従来の矯正に比べて痛みや違和感は少ないでしょう。
  • 金属アレルギーの心配がない:金属を使用していない医療用プラスチック素材で作られているため、金属アレルギーの方でも問題なく使用できます。
  • 治療計画を事前に確認できる:3Dシミュレーション・ソフトウェア(クリンチェック)で治療開始から終了までの歯の動きを確認できるため、治療への恐怖心を和らぐことができます。
  • 通院回数が少ない:2~3ヶ月に一度の通院で済む場合が多く、忙しい方でも治療しやすいです。

インビザラインのデメリット

インビザラインには多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットも存在します。

  • 装着時間:1日20時間以上という、長時間の装着が必要です。装着時間が短いと治療期間が延びたり、治療効果が得られなかったりする場合があります。
  • 奥歯の噛み合わせの問題:噛みしめが強い方では、奥歯が噛み合わなくなる「開咬」のリスクが高まります。
  • 適用できない症例:重度の歯列不正や骨格的なずれが大きい場合は、インビザラインでの治療が難しい場合があります。そのような場合は、外科手術を併用した矯正治療や、従来のワイヤー矯正が適している可能性があります。
  • 虫歯・歯周病のリスク:マウスピースを装着したまま糖分を含む飲み物を摂取すると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。こまめな歯磨きとうがい、適切な食生活を心がける必要があります。

インビザラインの治療が向いている人

インビザラインは、軽度から中等度の歯列不正で、抜歯を必要としないケース、あるいは抜歯が必要でも歯の平行移動を必要としないケース(傾斜移動で動かせるケース)に適しています。

また、マウスピース(アライナー)を1日20時間以上きちんと装着できる自己管理能力も重要です。さらに、治療に積極的に取り組み、医師の指示をきちんと守れる方は、良好な結果を得られる可能性が高く、インビザラインによる治療に向いていると言えるでしょう。

インビザラインにかかる費用

インビザラインの費用は、全体矯正で70万~100万円ほど、部分矯正で30万~80万円ほどが相場となります。矯正計画が明確な治療法のため、追加費用は発生しにくいです。

なお、インビザラインは保険適用外(自費診療)で、費用はクリニックによって異なります。正確な費用については、必ず受診するクリニックでご確認ください。

マウスピース矯正とは

マウスピース矯正は、ワイヤーやブラケットなどの金属製の装置を使わず、透明なマウスピース型の装置を用いて歯を動かす矯正方法です。インビザラインも、マウスピース矯正の一種です。

「透明で目立たない」「取り外し可能」「負担が少ない」などのメリットがある一方、マウスピース矯正が適応できる症例は限られており、従来のワイヤー矯正が適している場合もあります。

ここからは、以下を通じて、マウスピース矯正の詳細をさらに確認します。

  • マウスピースの種類
  • インビザライン以外のマウスピース
  • マウスピースにかかる費用

マウスピースの種類

マウスピースには大きく分けて、以下4つの種類があります。

  • 患者自身が作成するセルフタイプ:市販されているキットを用いて、自宅で歯型を採取し、マウスピースを作成するタイプです。安価ですが、歯の状態によっては適切な矯正効果が得られない場合や、健康上のリスクがあるため、歯科医師の指導のもとで使用することが推奨されます。
  • スポーツ用マウスピース:スポーツ中の衝撃から歯を守るためのマウスピースです。歯型に合わせて作成され、衝撃吸収性のよい素材を使用しています。
  • 睡眠時専用のナイトガード:歯ぎしりや食いしばりから歯を守るためのマウスピースです。歯型に合わせて作成され、就寝時に装着します。
  • 矯正用マウスピース:矯正治療に用いるマウスピースです。インビザラインをはじめ、様々な種類があります。透明な素材で作られており、目立たない矯正治療が可能です。

インビザライン以外のマウスピース

インビザライン以外のマウスピース矯正装置には、主に以下のようなものがあります。

  • アソアライナー(Aso Aligner):国内製造で、軽めの矯正治療(部分矯正・後戻りなど)の治療に適しています。治療 段階に応じて、3種類のマウスピース(ソフト・ミディアム・ハード)を使い分けます。
  • クリアコレクト(ClearCorrect):インビザラインに次ぐ人気を誇るアメリカの矯正装置です。歯茎をカバーする設計で、高い密着感を実感できます。そのため歯を動かす力が強く、効率的な歯の移動が期待できるでしょう。
  • キレイライン:低価格で手軽にスタートできることから、若い層の注目度が高い矯正装置です。自分で治療回数を決定できるため、柔軟な治療計画を立てることができます。対象は、前歯の部分矯正です。

マウスピースにかかる費用

マウスピース矯正の費用は、全体矯正で60万~100万円ほど、部分矯正で20万~60万円ほどが相場です。

なお、使用するマウスピースの種類や枚数、治療期間、クリニックによって費用が異なります。また、マウスピース矯正は基本的に保険適用外(自費診療)ですが、先天性疾患などの一部症例は保険適用される可能性があるため、 気になる方は事前にクリニックへご相談ください。

インビザラインとマウスピースの比較

ここからは、インビザラインとマウスピースを、以下のポイントで比較します。

  • 通院回数
  • 矯正効果
  • 取り外し

ご自身に適した矯正方法を知る参考にしてください。

通院回数

インビザラインは通院頻度が低い一方、治療期間は長めです。

具体的に、通院頻度は2~3ヶ月に1回程度(初期は1ヶ月に1回程度)、治療期間は半年〜2年程度かかります。

一方、マウスピース矯正は、通院頻度が高く、治療期間は短めです。

具体的に、通院頻度は2週間~1ヶ月に1回程度です。治療期間は、個々人で大きく変動する可能性がありますが比較的、短期間の傾向となります。

矯正効果

インビザラインは、3Dシミュレーションによって事前に歯列を確認し、治療結果を事前にシミュレートした、高度な治療計画の作成ができます。各国で1500万人以上の治療数があり、症例数も豊富です。

一方、その他のマウスピース矯正では、技工士の技術や経験によって、マウスピースの仕上がりに差が生じる可能性もゼロではありません。

そのため、インビザラインの方が、より確かな矯正効果が期待できる可能性があるでしょう。

取り外し

インビザラインを含むマウスピース矯正は、器具の取り外しが可能です。これにより、口腔内を清潔に保ちやすく、虫歯や歯周病のリスクを和らげることにもつながります。(※ただし、固定式リテーナーなど一部のマウスピース矯正は取り外すことができません)

これはワイヤー矯正と比較した場合の、大きなメリットと言えるでしょう。

治療開始までの流れについて

インビザラインの治療開始までの流れは、以下の2ステップに大別できます。

  • 初診時の検査と診断
  • 治療計画の作成方法

初診時の検査と診断

初診時には、口腔内写真、レントゲン撮影、歯の型取り、顎の状態の確認など、様々な検査を行います。これらの検査結果をもとに、患者さんの歯並びや顎の状態を詳しく診断し、適切な治療方法を決定します。

治療計画の作成方法

検査の結果に基づき、クリンチェック(3Dシミュレーション・ソフトウェア)を用いて治療計画を作成します。クリンチェックでは、治療開始から終了までの歯の動きを3Dシミュレーションで確認でき、治療期間や費用についても事前に把握できます。

患者さんは、このシミュレーションを確認することで、治療後の歯並びのイメージを具体化でき、治療に対するモチベーションを高めることが可能です。

まとめ

インビザラインは、透明で目立ちにくく、取り外し可能で負担が少ないなど、多くの利点を持つマウスピース型矯正装置です。各国で豊富な治療数があり、信頼できる矯正方法の一つです。

ただし、インビザラインは、すべての症例に適応できるわけではありません。また、1日20時間以上の装着が必要で、自己管理も重要となります。

なお、マウスピース矯正には、インビザライン以外にも様々な種類があります。それぞれ特徴や費用、治療期間が異なるため、自身の症状やライフスタイル、予算に合わせて適切な矯正方法を選択することが大切です。矯正治療を検討している方は、まずは豊富な症例数を持つ歯科クリニックを受診し、専門医に相談しましょう。