「お口ポカン」の原因は?放置する問題や改善のトレーニングを解説

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お子さんの「お口ポカン」は、口周りの筋力不足や鼻づまりなどが原因で起こることがあります。放置すると発音や歯並び、顔つきの発達に影響が出る可能性があるため、注意が必要です。

この記事では、お口ポカンの原因やリスク、ご家庭でできるトレーニングなどの改善アプローチを詳しく解説します。

もしかして「お口ポカン」?お子さんの様子をチェック

お口ポカンとは、何もしていないときに口が自然と半開きになっている状態のことです。本来、安静時の口は閉じているのが通常ですが、さまざまな原因によってこの状態を保てなくなることがあります。

お子さんに以下のような様子が見られる場合、お口ポカンのサインかもしれません。

  • いつも口が半開きになっている
  • 食事の際にクチャクチャと音を立てる
  • 会話で舌足らずな発音が多い
  • 朝起きると、枕がよだれで濡れていることがある
  • いびきをかくことがある
  • 風邪を引きやすく、鼻がよく詰まる

お口ポカンを放置しているとさまざまな問題が起こり得るため、対策が必要です。

お口ポカンとは?

お口ポカンは医学的に「口唇閉鎖不全症」と呼ばれ、子どもに多く見られる症状です。「口腔機能発達不全症」の症状のひとつとされています。

「口腔機能発達不全症」とは、18歳未満の子どもで、生まれつきの病気や障害がないにもかかわらず「食べる」「話す」などの口の動きや使い方がうまく発達していない状態のことです。

この状態が続くと歯並びの乱れや呼吸が口呼吸になるなど、子どもの発育に影響を及ぼすことがあります。

お口ポカンの原因

お口ポカンが起こる主な原因として、口周りの筋力不足、歯並び、慢性的な鼻づまり、舌の位置の問題などがあげられます。

  • 口周りの筋力が不足している
  • 歯並びが悪い
  • 慢性的な鼻づまりがある
  • 舌の位置に問題がある

ここでは、口が開いたままの状態になりやすい主な要因を紹介します。

口周りの筋力が不足している

お口ポカンになる原因として、口周りの筋肉(口輪筋や頬の筋肉など)が十分に発達していないことがあげられます。

これらの筋肉は「口を閉じる・表情をつくる」といった基本的な動作に関わっており、口周りの筋力が不足していると、無意識のうちに口が開いたままになりやすく、口をしっかり閉じることができません。その結果、ポカン口を引き起こしやすくなります。

現代の食生活では、やわらかい食べ物が多く、咀嚼回数が減少していることも、筋力低下の一因といえるでしょう。

歯並びが悪い

歯並びの乱れによって、口をしっかり閉じにくくなることもお口ポカンの原因のひとつです。

たとえば、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)などの不正咬合がある場合、上下の歯のかみ合わせがずれ、唇を自然に閉じることが難しくなります。

その結果、安静時でも口が開いたままになりやすく、お口ポカンの状態が習慣化してしまうことがあるでしょう。

慢性的な鼻づまりがある

アレルギー性鼻炎などによる慢性的な鼻づまりも、お口ポカンを引き起こす原因のひとつです。鼻が詰まっていると、自然と口呼吸が習慣化しやすくなります。

口で呼吸する状態が続くと、舌の位置が後方に下がり、口の周りの筋肉が十分に使われません。その結果、口を閉じる力が弱まり、無意識のうちに口が開いた状態になりやすいでしょう。

耳鼻咽喉科で鼻づまりの治療を行い、鼻呼吸に移行することが大切です。

舌の位置に問題がある

舌の位置や動きの癖も、お口ポカンの原因のひとつです。舌が正しい位置になかったり、舌を前に突き出したりする癖があると、口が開いた状態になりやすくなります。その結果、お口ポカンになる可能性があるでしょう。

また、舌の裏側の根元から伸びる「舌小帯」という筋が先天的に短い「舌小帯短縮症」により、お口ポカンになる場合もあります。舌小帯短縮症があると舌の動きが悪くなり、口周りの筋肉を十分に発達させることが難しいためです。

お口ポカンを放置すると起こりやすい問題

お口ポカンを放置すると、発音や顔つきの発達への影響、虫歯や歯周病のリスク増加、睡眠の質の低下など、心身の健康にさまざまな問題を引き起こす可能性があります。

  • 発音に影響する
  • 口呼吸になりやすい
  • 顔の筋肉が正しく発達しない可能性がある
  • 虫歯・歯周病のリスクが高まる
  • 睡眠の質が悪くなりやすい
  • 姿勢が悪くなりやすい

ここでは、お口ポカンを放置した場合に起こりうる問題点について解説します。

発音に影響する

お口ポカンを放置すると、発音に支障が出やすくなります。特に爆発音(「ぱ」「ば」「ま」などの音)や、「サ行」「タ行」を正しく発音するのが難しくなるでしょう。

これは、唇が完全に閉じないために発音に必要な口内の気圧が確保できなくなることが原因です。その結果、言葉が不明瞭になったり、発音の習得に時間がかかったりすることがあります。

口呼吸になりやすい

お口ポカンは、口呼吸になりやすいことも問題です。鼻呼吸には、鼻毛や鼻の粘膜がフィルターとして働き、ウイルスや細菌の侵入を防ぐほか、空気を加湿・加温するなどの多くのメリットがあります。しかし、口呼吸になると、これらの自然な防御機能が十分に働かなくなり、鼻呼吸により得られるメリットが失われるでしょう。

口呼吸では乾燥した冷たい空気が直接喉に入るため、風邪を引きやすくなったり、喉の痛みを引き起こしたりするリスクが高まります。

顔の筋肉が正しく発達しない可能性がある

お口ポカンは、顔の筋肉の発達にも影響を及ぼすことがあります。筋肉が十分に使われないと、顔の筋肉の機能が不十分になったり、左右のバランスが崩れたりして、表情が不自然に見えるリスクが高まるでしょう。

特に、口の周りの筋肉が緩むことで、顔の輪郭が崩れやすくなることもあります。

また、咀嚼や嚥下といった他の口腔機能にも影響が及ぶ可能性があり、日常生活での食べる・飲むといった動作に支障が出る可能性もあるでしょう。

虫歯・歯周病のリスクが高まる

お口ポカンの状態は、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。口呼吸になると口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の分泌低下・自浄作用が十分に働かなくなって細菌が繁殖しやすい環境が生まれるためです。

また、口腔内の細菌が増えることで虫歯や歯周病が進行しやすくなるだけでなく、口臭の原因にもつながります。

睡眠の質が悪くなりやすい

お口ポカンの状態で眠ると、睡眠の質が低下する可能性があります。口呼吸によって喉が乾燥し、気道が狭くなっていびきの原因になるでしょう。質の高い睡眠が妨げられると、成長ホルモンの分泌にも悪影響を及ぼします。子どもの成長を妨げる可能性もあるでしょう。

睡眠不足は、日中の眠気や集中力の低下を引き起こすことがあり、情緒不安定にもつながります。

さらに、睡眠中に舌が気道を塞ぎやすくなるため、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが高まることにも注意が必要です。

姿勢が悪くなりやすい

お口ポカンは、姿勢の悪化にもつながる点に注意しましょう。お口ポカンによって口呼吸が習慣化すると、酸素の摂取効率が低下し、無意識のうちに前傾姿勢になりやすくなります。

その結果、背中が丸まった「猫背」の姿勢となり、骨格のバランスが崩れる可能性も考えられるでしょう。

姿勢の乱れは、成長過程における身体機能の発達にも影響を及ぼすことがあります。

お口ポカンの改善につながるアプローチ

お口ポカンを改善するためには、次のようなトレーニングや治療法が効果的です。

  • お口ポカンを予防するトレーニングを行う
  • 正しい舌の位置に改善する
  • 鼻づまりを治す
  • 歯並びを矯正する

お口ポカンの改善につながるアプローチについて、詳しくみていきましょう。

口周りの機能を高めるトレーニングを試す

お口ポカンの原因が口周りの筋肉低下にある場合、口周りの筋力を高めるトレーニングがおすすめです。

「あいうべ体操」とも呼ばれる、口周りの筋肉のトレーニング方法を紹介します。

  1. 「あー」と口を大きく開け、1秒キープする
  2. 「いー」と口を横に広げて1秒キープ
  3. 「うー」と唇をとがらせて、大きく前に突き出して1秒キープする
  4. 「べー」と舌を顎先に向かって伸ばすように出して1秒キープする

10回を1セットとし、1日3セットを目標として毎日行うとよいでしょう。

正しい舌の位置を意識する

舌を上の歯の裏側に軽くつけることを意識することも、お口ポカンの改善につながります。舌が正しい位置にあると自然に口が閉じやすくなり、口呼吸の習慣も減らすことができるでしょう。

また、舌を正しい位置に置くことで、口の周りの筋肉や顔の筋肉も使われやすくなります。咀嚼や発音もスムーズになりやすいでしょう。

鼻づまりは耳鼻咽喉科に相談する

アレルギー性鼻炎などで鼻づまりが原因となってお口ポカンになる場合は、耳鼻咽喉科で適切な治療を受けましょう。鼻づまりを改善することで自然と鼻呼吸に戻り、口呼吸による口内の乾燥や虫歯、風邪などのリスクを減らせます。

また、鼻呼吸ができるようになれば、舌や口の周りの筋肉も正しく使いやすくなり、お口ポカンの改善につながるでしょう。

歯並びが気になる場合は歯科医院で矯正相談をする

咬み合わせが原因と考えられる場合、歯科医院で矯正について相談することをおすすめします。子どもの矯正治療は、顎の成長と歯の生え変わりを誘導し、将来の健康な歯並びを整えるための「第1期治療」と、永久歯が生えそろってから歯並びを整える「第2期治療」に分けられます。

第1期治療では床矯正装置などを使用し、顎の骨のバランスやスペースを確保することを目的に、永久歯が生え始める前の6歳〜10歳ごろに開始するのが一般的です。

なお、矯正治療は原則として自由診療であり、治療期間や費用は個人の症状によって大きく異なります。まずは歯科医師に相談し、治療内容や費用、リスクについて十分な説明を受けることが重要です。

まとめ

お口ポカンの状態を放置すると、「口呼吸になりやすい」「発音に影響する」などさまざまな問題が起こります。早期に原因を見極め、適切な対策を行いましょう。日頃からお子さんの口元の状態に注意を払い、必要に応じて歯科医師に相談するようにしてください。

以下のページでは、お口ポカンの相談ができる歯科医院をご紹介しています。お子さんのお口ポカンで悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。

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ベストチョイス編集部
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