歯列矯正後に後戻りするのはなぜ?原因や対策を解説

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長い期間と決して安くない費用をかけて手に入れた、理想の歯並び。しかし、矯正治療を終えた方の中には「せっかく綺麗になった歯が、少しずつ元の位置に戻ってきた…」という「後戻り」に悩む方が少なくありません。

結論から言えば、後戻りの主な原因は、治療後の歯を安定させる「保定装置(リテーナー)」の装着不足にあります。しかし、それ以外にも日常生活に潜む癖や、親知らずの影響など、見過ごされがちな要因も複雑に関係しています。

ですが後戻りは、その原因を正しく理解し、適切な対策を講じることで十分に予防が可能です。そして万が一、後戻りが起きてしまったとしても、状態に合わせた適切な治療法があります。

【この記事でわかること】

  • 後戻りが起こる原因と、放置した場合のリスク
  • 後戻りの状態に応じた具体的な対処法と、再治療の選択肢
  • 後戻りを未然に防ぐために、今日からできる大切なこと

矯正後に後戻りする主な原因と放置するリスク

この章のまとめ!

後戻りとは、矯正で整えた歯が元の位置に戻ろうとする現象です。主な原因は保定装置(リテーナー)の装着不足にあり、放置すると再治療が必要になる可能性があります。

ここでは、矯正後に後戻りする原因と放置した際の問題点を解説します。

後戻りを引き起こす主な原因

保定装置(リテーナー)の装着不足に加え、以下のような要因も後戻りを引き起こす可能性があります。

  • 歯を支える骨や歯周組織が安定していない
  • 親知らずが生えてきて歯列を押している
  • 舌で歯を押す癖(舌突出癖)や頬杖
  • 食いしばりや歯ぎしり

それぞれ詳しく解説します。

保定装置(リテーナー)の装着不足

矯正治療後の後戻りを引き起こす最も一般的な原因は、リテーナーの装着不足です。矯正装置によって歯を動かした直後は、歯の周辺組織や骨がまだ新しい位置に完全に安定しておらず、歯は元の場所に戻ろうとする性質があります。

この不安定な時期に歯を正しい位置に固定する役割を担うのがリテーナーです。歯科医師の指示通りの時間、リテーナーを装着しないと、歯は少しずつ動き始め、後戻りが生じてしまいます。特に治療終了後の数ヶ月から1年は歯が動きやすいため、この期間の継続的な使用が矯正治療の成否を分けると言っても過言ではありません。

歯を支える骨や歯周組織が安定していない

矯正治療で歯が動く際、歯を支えている歯槽骨や歯根膜といった歯周組織も、その変化に適応するために再構築されます。この組織の再構築と安定には、数ヶ月から数年単位の長い時間が必要です。

治療が完了した直後は、これらの組織がまだ軟らかく不安定なため、リテーナーによる保定を怠ると、歯は簡単に動いてしまいます。また、歯周病が進行していると、歯を支える骨が破壊され、歯がぐらつきやすくなるため、後戻りのリスクがさらに高まる可能性があります。

親知らずが生えてきて歯列を押している

10代後半から20代にかけて生えてくることの多い親知らずも、後戻りの一因となることがあります。親知らずが横向きや斜めに生えてくると、隣の歯を前方に押す力がかかります。この力が歯列全体に影響を及ぼし、せっかく整えた前歯の歯並びが乱れてしまうのです。

特に、顎が小さい現代人は親知らずが生えるスペースが不足しがちで、その萌出(ほうしゅつ)する力が歯並びに影響を与える可能性があります。矯正治療後の歯がまだ安定していない時期に親知らずが生えてくると、後戻りのリスクが高まるため注意が必要です。

舌で歯を押す癖(舌突出癖)や頬杖

無意識に行っている日常的な癖も、歯並びに影響を与える大きな要因です。例えば、舌で前歯の裏側を押す癖(舌突出癖)があると、持続的に力が加わり、出っ歯や歯と歯の間に隙間ができる「開咬(かいこう)」を引き起こす可能性があります。

同様に、頬杖をつく習慣は、顎や歯並びに左右非対称の力を加え、顔の歪みや歯列の乱れにつながります。これらの癖は、リテーナーを外している短い時間であっても、歯並びに少しずつ影響を及ぼす可能性があります。

食いしばりや歯ぎしり

睡眠中や日中に無意識に行われる食いしばりや歯ぎしりも、後戻りの原因となり得ます。これらの行為によって歯や顎には、食事の際に加わる力よりもはるかに強い、過大な力がかかります。

この強い力が継続的に加わることで、歯やそれを支える組織に負担がかかり、歯が意図しない方向に移動してしまうことがあります。特に、矯正治療を終えたばかりの不安定な歯にとっては、大きなリスク要因となります。

なぜ後戻りを放置してはいけないのか

わずかな後戻りを放置すると、歯並びはさらに乱れる可能性があります。見た目の問題だけでなく、噛み合わせが悪化して食事や発音に影響が出たり、歯が磨きにくくなることで虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。

【状態別】後戻りしてしまった場合の対処法と再治療の選択肢

この章のまとめ!

後戻りの対処は、その程度によって治療法が異なります。軽度なら保定装置(リテーナー)の調整で済むこともありますが、状態によっては部分矯正などの再治療が必要となる場合があります。

後戻りの兆候が見られる際の、具体的な対処法について解説します。

  • 歯科医院に相談する
  • 後戻りの状態に応じた治療
  • 再治療で使用する主な矯正装置

まずは矯正治療を受けた歯科医院に相談する

後戻りに気づいた際は、自己判断で放置せず、治療を受けた歯科医院に相談してみましょう。治療経過や元の歯並びを把握しているため、より適切な対応が期待できるでしょう。

後戻りの程度に応じた治療法の選択

初期の軽度な後戻りであれば、保定装置(リテーナー)の調整や作り直し、装着時間を長くすることで改善が期待されます。

しかし、歯が明らかに動いた中度以上の後戻りでは、マウスピース矯正やワイヤーを用いた部分的な再矯正が必要かもしれません。

再治療で用いられる主な矯正装置

もし再治療となった場合は、状態に応じた矯正矯正が存在します。以下はそれぞれの特徴を表にまとめたものになります。比較検討の参考にしてください。

治療法 特徴 費用(目安) 期間(目安)
マウスピース矯正
  • 透明で目立たない
  • 取り外し可能
10万〜40万円 2ヶ月〜1年
ワイヤー矯正(部分)
  • 適応範囲が広い
  • 確実性が高い
20万〜50万円 3ヶ月〜1年
全体矯正 噛み合わせから治す根本治療 60万〜100万円 1年〜2.5年

矯正後の後戻りを防ぐために大切なこと

この章のまとめ!

後戻りを防ぐ有効な方法の一つは、歯科医師の指示通りに保定装置(リテーナー)を装着し続けることです。また、舌の癖などの生活習慣を見直すことも歯並びの長期的な安定につながります。

保定装置(リテーナー)の装着時間を守る

矯正治療後の歯の周りの骨は、まだ固まりきっておらず不安定な状態です。保定装置(リテーナー)は、歯が新しい位置でしっかりと安定するまで支える、いわば「ギプス」の役割を果たします。

指示された装着時間を守ることが、後戻りを防ぐ最大のポイントです。

日常生活で意識すべき習慣

舌で前歯を押したり、唇を噛んだり、口をぽかんと開けているといった無意識の癖は、毎日少しずつ歯に力を加え、後戻りの原因となる可能性があります。

舌を正しい位置に置き、鼻で呼吸することを意識する訓練は、歯並びを安定させる上で有効性が指摘されています。

定期検診で後戻りを早期に発見する

矯正治療が終わった後も、定期的に歯科医院で検診を受けるとよいでしょう。検診では、後戻りの有無、保定装置(リテーナー)の状態、虫歯や歯周病などを確認します。問題の早期発見・早期対応が、歯並びの安定維持に役立つとされています。

セカンドオピニオンと歯科医院選びのポイント

この章のまとめ!

再治療を検討する際は、元の医院だけでなく他の医院の意見を聞くセカンドオピニオンも有効とされる方法です。医院を選ぶ際は、矯正治療の経験が豊富で、カウンセリングが丁寧な医院を選びましょう。

なぜセカンドオピニオンが有効なのか

セカンドオピニオンとは、現在の担当医以外の医師に意見を求めることです。これは、客観的な視点から歯の状態や治療法の選択肢を知ることができます。

特に再治療では、費用や方法も多様なため、納得して治療を進める上で有益と考えられる選択肢の一つです。

後戻り治療で後悔しないための医院選び

適切な歯科医院を選ぶ際には以下の点を参考に医院選びを行うとよいでしょう。

  • 日本矯正歯科学会の認定医・専門医が在籍しているか
  • 再治療の症例実績が豊富か
  • 費用や期間に関する説明が明確で分かりやすいか
  • カウンセリングでこちらの話を親身に聞いてくれるか

まとめ

この章のまとめ!

矯正後の後戻りは、原因と対策を理解することで予防につながると考えられています。ですが、最も大切なのは、指示通りに保定装置(リテーナー)を使い続けることと、定期検診を欠かさないことです。

万が一後戻りが起きても、早期に歯科医師へ相談すれば、負担の少ない方法で解決できる可能性があります。

【この記事の要点】

  • 後戻りの主な原因の一つは、保定装置(リテーナー)の装着時間の不足とされています。
  • 後戻りの兆候に気づいたら、自己判断せず、速やかに歯科医院へ相談しましょう。
  • 再治療には部分矯正など、元の治療よりも費用や期間の負担が少ない選択肢があります。
  • 保定装置(リテーナー)の使用に加え、日々の癖を見直し、定期検診を受けることが、最良の予防策となります。

以下でご紹介するページでは、矯正歯科を探している方に向けた歯科医院の一覧を、参考情報として掲載しています。情報収集の一環としてご利用ください。

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ベストチョイス編集部
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