前歯だけの矯正ってできる?メリットや治療方法を解説

Xアイコン
facebookアイコン
LINEアイコン
Index目次

歯並びのなかでも、前歯はとりわけ人から見えやすい部分です。すきっ歯や出っ歯などのコンプレックスから人前で歯を見せることに抵抗を感じ、「なんとかしたい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。実は、矯正治療には全体矯正のほかに部分矯正という分野があり、前歯だけを矯正することも可能です。

そこでこの記事では、前歯だけを矯正するメリットやデメリット、対応できる症例について解説しています。適した治療方法もご紹介しますので、前歯にコンプレックスのある方は、ぜひ最後までご覧ください。

前歯だけの矯正をするメリット

前歯だけを矯正するメリットは、以下の3つです。

  • 全体矯正よりも費用が安い
  • 矯正期間が比較的短い
  • 気になるところだけを矯正可能

一つずつ、詳しく解説します。

全体矯正よりも費用が安い

歯並び全体を動かすよりも費用を抑えやすいのが、大きなメリットといえるでしょう。全体矯正の治療費は、使用する装置にもよりますが、60万~170万円あるいはそれ以上かかる場合があります。その一方で前歯だけを矯正する場合は、10万~80万円程度が相場です。

そのため、経済的な負担が心配という方も取り組みやすいでしょう。ただし、安ければいいというのでもなく、前歯だけの矯正治療をどの程度経験してきたか、治療内容やプランをしっかりと説明してもらえるかといった点も考慮して歯科医院を決める必要があります。

矯正期間が比較的短い

全体矯正と比較すると治療期間が短いというメリットもあります。歯を動かす範囲が少なくて済むため、歯並びの状態がそれほど悪くなければ数ヶ月、長くても1年程度で治療を完了できるケースもあるようです。その一方で、歯並び全体をゆっくりと動かす場合は、1~2年はかかると想定されます。

ただし、上記の治療期間は、歯科医師から指示された通院回数や過ごし方のルールを守っていることが前提です。治療を早く終わらせるには、患者さん側の協力も必要不可欠であることを忘れないでください。

気になるところだけを矯正可能

気になるところだけをピンポイントで治療できるのも、メリットの一つです。すきっ歯や出っ歯といった前歯のコンプレックスが解消されれば、自分に自信を取り戻すきっかけにつながるでしょう。

また、矯正装置を装着する範囲が狭く、装着時の違和感が少ないという側面もあります。このように、「歯並び全体ではなく、一部だけ整えたい」というときに有力な選択肢となるのが、大きな強みです。

前歯だけの矯正にはデメリットも

前歯だけの矯正には、以下のデメリットもあります。

  • 噛み合わせの改善には適さない
  • 症例によっては全体矯正が必要

理由について、詳しく見ていきましょう。

噛み合わせの改善には適さない

部分矯正は、前歯など一部の歯並びを動かして見た目を整えることが、治療の大きな目的です。そのため、前歯だけを整えても、奥歯の噛み合わせの改善までは期待できません。

逆にいえば、噛み合わせも含めて歯並びをきれいにしたい場合には、全体矯正がおすすめです。噛み合わせが改善されると歯にかかる力が均一に分散されて歯への負担を少なくできるほか、いつまでも自分の歯で食事や会話を楽しむことにもつながります。

症例によっては全体矯正が必要

前歯の矯正は対応できる症例が限られており、比較的軽度の症例に適しています。前歯の見た目を整えるには歯を並べるスペースを確保する必要がありますが、それだけのスペースがないときは、歯並びそのものを大きく動かさないといけません。

患者さんのなかには、費用や治療期間の関係で、どうしても部分矯正がいいという方もいるでしょう。しかし、将来的な歯の機能面を考慮すると、歯並び全体を整えたほうがいいケースもあります。歯科医師としっかり相談しながら、後悔のない選択をしましょう。

前歯部分の治療が適している状態

前歯部分の治療が適している状態は、以下の5つです。

  • 軽度の叢生(乱杭歯)
  • 軽度の上顎前突(出っ歯)
  • 軽度の空隙歯列(すきっ歯)
  • 開咬(オープンバイト)
  • 矯正治療後の歯の後戻り

これらの症例に該当する方は、部分矯正を検討してみてください。

軽度の叢生(乱杭歯)

叢生は乱杭歯とも呼ばれ、いわゆるガタガタの歯を意味します。日本人に多い八重歯も、叢生の一種です。以下の状態に当てはまれば、前歯を整えるだけで治療できる可能性が高いでしょう。

  • 前歯数本だけ前あるいは後ろに傾いている
  • 前歯が少しだけ重なっている
  • 前歯数本が軽くでこぼこしている

叢生は、歯が重なり合って並んでいることも多いです。そのため、部分矯正をする際は、0.2~0.5mmの範囲で歯の表面を削り、歯並びのスペースを確保する場合もあります。しかし重度の叢生だと、歯を削ってもスペースを十分に確保できず、前歯だけを整えても治療できません。

軽度の上顎前突(出っ歯)

上顎前突はいわゆる出っ歯のことで、文字通り前歯が前方に突出している状態です。以下の条件がそろっていれば、前歯だけの矯正で解決できる可能性があります。

  • 奥歯を動かさなくても治療ができる
  • 前歯の傾きの治療のみで改善が見込める
  • 骨格自体には問題がない

その一方で、奥歯を動かさないと将来的な噛み合わせに影響が出る恐れのある症例や、骨格に問題が見られる場合は、全体矯正が必要です。また、歯並びのスペースが十分ではないところに前歯を並べようとすると、さらに前歯が突出してしまうリスクがあります。このようなケースでは抜歯が必要であり、前歯だけの矯正治療は不向きです。

軽度の空隙歯列(すきっ歯)

空隙歯列は歯と歯の間に隙間ができている状態で、ほとんどの症例では、前歯を整えるだけで改善が期待できます。ただし、隙間が大きく空いている場合は対応できず、奥歯から動かさないといけません。

開咬(オープンバイト)

開咬はオープンバイトとも呼ばれ、口を閉じたときに上下の前歯の間に隙間ができている状態です。以下の状態であれば、前歯を整えるだけで対応できる可能性が高いでしょう。

  • 前歯だけの開咬
  • 骨格自体には問題がない
  • 開咬以外の問題がない

噛み合わせから改善しないといけない場合には、全体矯正となります。また、開咬+叢生+上顎前突といったように、複数の症状を抱える歯並びについても、部分矯正では対応できない点に注意が必要です。

矯正治療後の歯の後戻り

矯正治療を受けた後、歯が治療前の位置に戻ろうとする「後戻り」という現象が起こる場合があります。その対策として、矯正治療後にリテーナーと呼ばれる装置を装着し、歯並びが後戻りしないように固定するのが一般的です。しかし、このときにきちんと保定ができていないと、後戻りしてしまう可能性があります。

このような状態も、前歯だけの矯正で解決できるかもしれません。過去に矯正治療を受けて歯並びが後戻りしてしまった方は、歯科医師に相談してみてください。

前歯だけの矯正に用いられる治療方法

前歯だけの矯正に用いられる治療方法は、以下の3つです。

各装置の特徴について解説します。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、文字通りマウスピースを装着し、一定期間ごとに交換しながら歯並びを整えていく治療法です。装置は透明で目立ちにくく、周囲に気付かれずに矯正をしたい方に向いています。食事や歯磨きの際は装置を取り外すことになっており、衛生面が気になる方にもおすすめです。

また、装置の装着時の違和感が比較的少なく、治療を続けやすいのも、大きなメリットといえるでしょう。軽度の八重歯や出っ歯、すきっ歯、オープンバイトなどの矯正治療を得意としています。治療費の相場は10万~40万円程度と、なるべく低コストで歯並びを整えたい方にもおすすめの治療法です。

デメリットとしては、適応できる症例が少ない点が挙げられるでしょう。また、1日20~22時間以上装着するのが望ましいとされており、装着時間の自己管理が求められます。

ワイヤー装置による表側矯正

ワイヤー装置による表側矯正は広く認知されている治療法で、歯の表面に装置をつけて歯並びを整えていきます。適応できる症例や対応している歯科医院が多いのが、大きなメリットといえるでしょう。マウスピース矯正と同様に、軽度の八重歯や出っ歯、すきっ歯、オープンバイトなどの矯正治療が得意です。また、歯並びを大きく動かすのにも適しています。

治療費については、30万~60万円前後が相場です。一般的に広く知られた治療法で矯正したい方は、表側矯正を検討してみてください。

デメリットとしては、装置が目立ちやすく、食べかすが装置の間に挟まりやすい点が上げられます。歯磨きにもコツが必要なため、慣れるまでに時間がかかる方もいるようです。また、自分で装置を取り外すことはできず、歯科医院で定期的に調整してもらわないといけません。

ワイヤー装置による裏側矯正

歯の表側ではなく、裏側にワイヤー装置をつけて歯並びを動かす治療法もあります。装置が目立ちにくいほか、適応できる症例が多いのも、裏側矯正のメリットです。軽度の八重歯や出っ歯、すきっ歯、オープンバイトなどの矯正治療をはじめ、歯並びを大きく動かす必要がある矯正治療にも適しています。

治療費の相場は40万~70万円と、ほかの治療法と比較すると高めです。マウスピース矯正では対応できない症例かつ装置を目立たせたくない場合に、検討してみてはいかがでしょうか。

デメリットとしては、歯の裏側に装置をつけることで食事や歯磨きがしづらくなる点です。人によっては、痛みや不快感を覚えるかもしれません。また、装置に慣れるまで発音しにくい場合があることや、表側矯正と同様に定期的な調整が必要であることも知っておいてください。

まとめ

前歯だけの矯正は、全体矯正よりも費用を抑えやすく、治療期間も短くて済むことが多いです。叢生・上顎前突・空隙歯列・開咬などの歯並びで程度が軽い場合に適用できる可能性がありますので、まずは歯科医院を受診してお口の状態をチェックしてもらいましょう。

治療法としては、マウスピース矯正、ワイヤー装置による表側矯正もしくは裏側矯正の3種類に対応しています。それぞれのメリット・デメリットや費用を正しく理解し、自分に合った方法を選びましょう。

以下のページでは、栃木県宇都宮市でマウスピース矯正におすすめの歯科クリニック5院をご紹介しています。こだわりや特徴をまとめていますので、参考にしてみてください。

関連記事:宇都宮のマウスピース矯正治療でかかりたいおすすめの歯科クリニック