顎を広げる小児矯正とは?治療方法やメリット・デメリットを解説

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顎を広げる矯正とは、顎骨を少しずつ拡大し、永久歯が並ぶためのスペースを確保する小児矯正の方法です。子どもの成長を活かして顎を拡大することで、将来の歯並びや咬み合わせの改善が期待できます。

本記事では、顎を広げる矯正の目的や具体的な治療方法、費用相場などを解説します。

顎を広げる矯正とは?

顎を広げる矯正は、顎の幅を広げることで歯が並ぶ場所を確保する方法です。主に小児矯正で行われ、将来的に永久歯が正しい位置に生えるよう導くことを目的としています。

ここでは、顎を広げる矯正の目的や治療の時期などをみていきましょう。

将来の歯並びを整える小児矯正

小児矯正で顎を広げる目的は、将来的に大人の永久歯をきれいに並べるためです。乳歯から永久歯に生え変わると、歯のサイズや本数が増えるため、顎のスペースが十分でないと歯並びが乱れやすくなります。

子どもの時期の矯正で顎を適切に広げておくことで、永久歯が正しく並ぶスペースを確保でき、歯並びの乱れや咬み合わせが悪くなるリスクの軽減が可能です。

矯正できるのは7歳〜12歳程度

子どもの上顎の成長は、おおむね7歳から12歳程度で決まるため、顎を広げる矯正はこの時期に始めることが望ましいとされています。

ただし、成長のタイミングには個人差があり、矯正に最適な時期も人それぞれです。永久歯が生え始める時期になる前に、矯正治療を担当する歯科医師に相談して、子どもに合った治療時期を確認するようにしましょう。

顎を広げる矯正の治療方法

顎を広げる治療は、主に3つあります。

治療法 特徴
床矯正(取り外し式) 顎の成長を利用して、ゆっくりと顎を広げる
急速拡大装置(固定式) 短期間で顎の骨そのものを拡大する
マウスピース矯正 専用のマウスピースを交換しながら歯を動かす

「しっかり顎を広げたい」「子どもの年齢が低く本人の管理が難しい」といった場合は固定式が選ばれやすく、見た目や快適さを重視する場合はマウスピース型が選ばれることが多いでしょう。

最終的には、歯科医師の診断をもとに適切な方法を選ぶことが大切です。

それぞれの治療法について、詳しくみていきましょう。

床矯正(取り外し式)

床矯正とは、取り外し式の装置を使用して、歯に力を加えて歯列を押し広げる矯正方法です。顎の骨を広げるためのスクリューが付着したプラスチックで作られており、スクリューを少しずつ回して装置の幅を広げ、顎の幅を徐々に拡大します。

比較的痛みが少なく、取り外し可能で清掃がしやすい点がメリットです。ただし、効果を出すためには1日10時間程度の装着が必要で、外している時間が長い場合、思うような効果が見込めません。お子さんの協力も必要になるでしょう。

急速拡大装置(固定式)

急速拡大装置は、上顎の正常な発育を促すため、顎の骨を拡大する矯正方法です。他の矯正方法は歯を動かして歯を支える骨の拡大を行うのに対し、急速拡大装置は顎の骨そのものを拡大するため、顎を広げる矯正としては効果を発揮しやすくなります。

全体が金属のワイヤーで作られた固定式で、取り外しができないため汚れが溜まりやすいことがデメリットです。毎日の丁寧な歯磨きが欠かせません。

マウスピース矯正

床矯正と同じく、歯に力を加えて歯列を押し広げる矯正方法です。床矯正は顎の拡大に適していますが、歯並びの細かい調整には向きません。マウスピース矯正であれば、歯並びを整えながら顎を広げることが可能です。

透明なマウスピースを使うため目立ちにくく、取り外しができるため清掃しやすいというメリットがあります。

歯の外側から内側へ少しずつ力を加え、ゆるやかに顎の幅を広げていく仕組みの矯正方法です。比較的軽度から中等度の症例に向いており、効果を得るためには装置を決められた時間しっかりと装着することが求められます。

顎を広げる小児矯正のメリット

顎を広げる矯正には、主に以下のようなメリットがあります。

  • 骨格と歯列のバランスが整いやすい
  • 口呼吸を改善しやすい
  • 咬み合わせの改善につながる
  • 顔のバランスを整える効果が期待できる

ここでは、顎を広げる小児矯正を行うメリットについて解説します。

骨格と歯並びのバランスが整いやすい

顎を広げる矯正のメリットは、骨格や歯並びのバランスを整えやすくなることです。

歯並びが乱れる原因の多くは顎が小さいことにあります。そのため、小児矯正で顎を拡大しておくと、永久歯がきれいに並ぶための土台を作ることができ、将来的な歯並びの乱れを予防しやすくなるでしょう。

顎の成長期に行うことで、自然な咬み合わせの発達もサポートできます。

口呼吸を改善しやすい

顎を広げる矯正により、口呼吸の改善が期待できます。顎が狭いと気道が圧迫され、口呼吸になりやすくなりますが、矯正で顎を広げることで気道が広がり、自然に鼻呼吸に戻りやすくなる場合があるでしょう。

鼻呼吸に切り替わることで、口や喉の乾燥を防ぎやすくなるほか、虫歯や風邪の予防にもつながるといわれています。小児矯正は、口腔機能の改善にもつながる治療といえるでしょう。

咬み合わせの改善につながる

顎を広げると、上下の歯の咬み合わせが整いやすくなる点もメリットです。顎のスペースが十分に確保されることで、歯が正しい位置に並びやすくなり、噛む力や咀嚼のバランスも改善されることが期待できます。

たとえば、上の前歯が前に出ているいわゆる「出っ歯」や、下の歯が前に出ている受け口の場合でも、顎のスペースを広げることで、歯が正しい位置に並びやすくなり、自然な咬み合わせを作りやすくなります。これにより、将来的な歯並びの乱れや咀嚼の不具合を防ぐことが期待できるでしょう。

顔のバランスを整える効果が期待できる

顎を広げる矯正は、顎の骨の成長バランスを整えることで、顔の発育にも良い影響を与える可能性があります。顎の成長がスムーズになれば、口元や顔全体のバランスが整い、健やかな顔貌の形成につながる可能性があるでしょう。

ただし、効果の現れ方には個人差があり、成長のタイミングや体質によっても結果が異なるため、歯科医師と相談しながら進めることが大切です。

顎を広げる小児矯正のデメリット

顎を広げる矯正には、次のようなデメリットもあります。

  • 装置の違和感がある
  • うまく顎を広げられないケースもある
  • 虫歯や歯周病のリスクが高まる

矯正前には、これらデメリットも把握しておく必要があります。詳しくみていきましょう。

装置の違和感がある

顎を広げる矯正では、矯正装置を装着するため、最初は不快感や違和感を抱くことがあります。装置に慣れるまでの期間は、歯や顎に軽い痛みや圧迫感を覚えることもあるでしょう。

特に、歯を固定して顎の骨を拡大する急速拡大装置は、痛みが生じやすいとされています。固定式のため、お子さんが痛みを訴えてもすぐに外せない点に注意が必要です。

多くの場合は2週間ほどで慣れていきますが、違和感が強い場合や痛みが長く続く場合は、歯科医師に相談して装置の調整を行う必要があるでしょう。

うまく顎を広げられないケースもある

顎を広げる矯正は有効な方法ですが、すべての症例に適応できるわけではありません。遺伝的な要因などで顎の成長が不十分な場合、思うように広げられないケースもあります。

骨格の成長には個人差が大きいため、治療を始める前には、歯科医師による精密な検査と正確な診断を受けることが大切です。適切な時期と方法を見極めることで、より良い結果が期待できるでしょう。

虫歯や歯周病のリスクが高まる

矯正装置を口の中に装着していると、装置の周りに食べかすや汚れが溜まりやすくなります。特に固定式の装置は歯ブラシが届きにくく、清掃が不十分になると虫歯や歯周病のリスクが高まるため、注意が必要です。

矯正中は普段以上に丁寧な歯磨きが必要になるでしょう。毎日のケアをしっかり行うことは虫歯予防につながり、治療をよりスムーズに進める助けとなります。

顎を広げる小児矯正の費用相場と期間

顎を広げる矯正は一般的に保険が適用されない自由診療になり、費用は高額になる傾向があります。また、費用と同時に気になるのが治療期間です。

ここでは、顎を広げる矯正の費用相場と治療期間について解説します。

費用相場

顎を広げる矯正の費用は基本的に保険適用外で、全額自己負担となります。

治療法別の費用相場は、以下のとおりです。

治療法 費用の目安
床矯正(取り外し式) 20万〜50万円程度
急速拡大装置(固定式) ・装置代:3万〜5万円程度

・通院費用:1回あたり3千〜5千円程度

マウスピース矯正 40万〜100万円程度

費用には、主に次の料金が含まれます。

  • 初回カウンセリング
  • 検査・診断料
  • 矯正装置の製作費
  • メンテナンス料
  • 治療後の保定装置費

急速拡大装置での治療は、そのあとにワイヤー矯正やマウスピース矯正を実施することも多く、その場合はさらに費用がかかります。

実際にかかる費用は選択する治療法や治療の難易度、歯科医院によって異なるため、具体的な金額は歯科医院に問い合わせるとよいでしょう。

治療期間

顎を広げる矯正の治療期間は顎の発達状況で変わり、一般的におおよそ半年から1年程度が目安とされています。歯の動き方や症例の難易度によっては、さらに長期間の治療が必要になることもあるでしょう。

また、矯正後は効果を安定させるためにリテーナーと呼ばれる保定装置を装着する場合があります。保定の期間は個人差があり、数ヶ月から数年にわたって継続することもあるでしょう。

まとめ

顎を広げる矯正は、将来的に永久歯が正しい位置に並ぶための基礎を整えることを目的とした治療です。顎の成長に合わせた治療により、歯並びの乱れを予防しやすくなります。

治療が行える時期には限りがあるため、お子さんの歯並びが気になる方は、永久歯が生え始める前の段階で早めに歯科医院へ相談するとよいでしょう。

以下のページでは、顎を広げる矯正の相談ができる歯科医院をご紹介しています。顎を広げる矯正治療を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。

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ベストチョイス編集部
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