部分入れ歯は若い人でも一般的？ブリッジ・インプラントとの比較や選び方

虫歯や歯周病

重度の虫歯や歯周病は、若い人でも抜歯にいたる場合があります。虫歯が根の深部まで広がると歯の強度が保てなくなり、破折を起こすケースも少なくありません。また、歯周病は自覚症状が乏しいまま進行し、気づいた時には歯を支える骨が減少し、歯の保存が難しくなることもあります。

若い年代の場合、日常の忙しさから受診が遅れ進行を早める一因になることも珍しくありません。こうした背景で抜歯が必要になった際、欠損部を補うために部分入れ歯が選択されるケースもあります。

スポーツや事故などによる外傷

スポーツでの接触や転倒、交通事故など、予期せぬ衝撃で歯が折れることもあります。特に前歯は外力を受けやすく、強い衝撃が加わると歯の根が割れたり、完全に脱落したりするケースも少なくありません。

こうした外傷後に歯を補う方法として、部分入れ歯が用いられることがあります。

過去の治療に伴う抜歯

以前に大きな虫歯治療や根管治療を行った歯は、経年とともに強度が低下し、ひびが入ったり割れたりしやすくなる傾向があります。破折が根の深い部分まで広がると、保存するのが難しく、抜歯が選ばれることも。

このように、治療済みの歯が後になって問題を起こすケースは珍しくありません。抜歯後の欠損部を補う手段として、部分入れ歯が選択肢に挙がることがあります。

その他の理由

虫歯や外傷以外にも、若い方が部分入れ歯を必要とする理由はいくつかあります。

これらの背景で歯が失われた際、部分入れ歯が選択肢のひとつとして検討されます。

見た目の目立ちやすさ

従来型の部分入れ歯は金属のバネ（クラスプ）が見える場合があり、特に若い年代では、会話や笑顔になったときに金属が見えることへの抵抗感が強いといわれています。

ただ近年は、歯ぐきに似た樹脂を使って金属を目立ちにくくしたタイプもあり、外観に配慮された設計の選択も可能になりました。見た目への不安を軽くするためには、装着した際の印象や色味を事前に確認できるかどうかが判断材料になるでしょう。

食事の際の違和感

部分入れ歯は、天然の歯とは素材も構造も異なるため、噛むときの感覚に違いが生じるケースがあります。特に新しく装着した直後は、違和感を覚えることもあるかもしれません。

食事中に「噛みにくい」「力が入りにくい」と感じる場合は、義歯の噛み合わせや位置の調整で改善が期待できる可能性があります。使い続けるうちに慣れていくケースもありますが、状況に応じて歯科医院での細かな調整が重要です。

会話（発音）のしにくさ

部分入れ歯は口の中に新たな装置が入るため、発音がしにくいと感じる場合があります。特に前歯に近い部分を補う義歯では、舌の動きが変わることで特定の音が出しにくくなると感じるケースも珍しくありません。

慣れによって発音の違和感が軽減される可能性もありますが、位置調整や厚みの調整が必要になる場合もあります。会話のしやすさは日常生活に直結するため、気になる点は早めに相談してフィッティングを整えることが大切です。

部分入れ歯

部分入れ歯は、残存歯や顎の状態に合わせて作製し、金属のバネ（クラスプ）などで固定する取り外し式の補綴装置です。通常は外科的な処置を伴わないため幅広いケースに対応しやすく、若い人の治療法としても多く用いられています。

取り外して清掃できるため、口腔内を清潔に保つ習慣を確立しやすい一方、装着当初は厚みや素材の違いによる違和感を覚える方も少なくありません。これは義歯特有の感触に慣れるまで一定の時間が必要になるためで、使用を続ける中で馴染んでいくケースが多く見られます。噛み合わせの状態は個々によって異なるため、適切な力がかかるよう微調整を重ねることが重要です。

部分入れ歯は取り外せる構造であるため、固定式の治療と比べると安定感が気になる場合があります。状態に応じた設計を相談することで、自分に合った使用感に近づけることが可能です。

ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両側にある歯を土台として削り、その上に連結された人工歯を装着する治療法です。固定式で取り外しの必要がないため、食事中の安定感や発音のしやすさなど、普段の生活で扱いやすいと感じる方もいます。

ただし、両隣の歯を削る必要があり、土台となる歯に負担がかかる可能性がある点に注意が必要です。支台歯の状態が適していない場合は、別の治療法を検討する場合もあります。

インプラント

インプラントは、顎の骨に人工歯根（インプラント体）を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療法です。天然の歯に近い構造を再現するため、噛んだときの感触が安定しやすいとされています。人工歯根が骨に固定される仕組みを持つため、多くの場合隣の歯に負担をかけずに補綴できる点が特徴です。

治療には外科処置が必要となり、顎の骨の状態を確認する検査や、治療計画の立案が欠かせません。骨の量や厚みによっては、骨を補う処置を先に行う場合もあります。手術後は骨とインプラント体が結合するまで一定期間を要し、この期間を経て人工歯を取り付ける流れです。

インプラントは原則として自費診療であるため費用は全額自己負担となるケースが一般的で、治療期間も比較的長く、通院回数が増える傾向があります。ただし、装置は口内で固定されるため、取り外しの必要はありません。

ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャーは、金属のバネ（クラスプ）を使わずに固定する部分入れ歯です。歯ぐきの色に近い樹脂素材を使用し、口を開けたときに金属が見えにくいため見た目が気になる方の選択肢として提案されるケースもあります。

コーヌスクローネ義歯

コーヌスクローネ義歯は、残っている歯に金属冠（内冠）を被せ、その上に義歯側の外冠をはめ込んで固定する部分入れ歯です。内冠と外冠が精密にかみ合うことで保持力を得る仕組みのため、装着時には安定感が出やすいとされています。

また金属のバネを使わずに固定するため、装着後に金属が見えにくい方にも選ばれる部分入れ歯のひとつです。