【徹底比較】インプラントとブリッジの違いは?特徴や併用について解説
失った歯の治療方法は多様ですが、特にインプラントとブリッジの選択で迷う方が少なくありません。両者にはそれぞれ長所と短所があり、治療期間や費用面でも大きな違いが見られます。
そのため、「インプラントとブリッジ、どちらを選ぶべきか」と悩む方も多いのが現状です。この選択の難しさから、決断に至れずにモヤモヤとした気持ちを抱える方も少なくないでしょう。
そこでこの記事では、インプラントとブリッジの違いについて詳しく解説します。インプラントとブリッジの併用についてもご紹介するので、迷っている方や違いについて知りたい方はぜひ参考にしてください。
インプラントとブリッジの比較表
下記の比較表を参考にしていただくことで、両者の特徴や違いをより明確に理解することができるでしょう。
インプラント | ブリッジ | |
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治療方法 | 失った歯の部分にインプラント体を埋入しその上に人工歯を取り付ける治療法 | 失った歯の両隣にある歯を使い人工歯を取り付ける治療法 |
治療の流れ |
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治療の費用 | インプラント1本あたりの治療費は平均で約30~40万円 | 保険適用の場合の1本あたりの費用は約2~3万円が平均
保険適用外の場合の1ほんあたりの費用は約5~15万円が平均 |
治療にかかる期間 | 上顎は12ヶ月程度で下顎は6ヶ月程度が平均 | おおよそ1~3ヶ月 |
治療のリスク |
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インプラント治療とは
インプラント治療とは、失った歯の部分にインプラント体を埋入しその上に人工歯を取り付ける治療法のことです。失った歯の治療には入れ歯治療もありますが、硬いものが食べにくかったりズレてしまったりするため、ストレスを感じる方もします。
その点、インプラントは天然歯と変わらない噛み心地で、歯を失う前と同じような感覚で日常生活を送れるのが魅力です。また、インプラント体にしっかり取り付けられているため、ズレる心配もありません。
インプラントは、日ごろのケアや歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることで寿命を延ばすことが可能です。
インプラントの平均寿命は10~15年ほどと言われていますが、ケアを怠らなければ20年以上も使い続けられる可能性があります。
見た目も天然歯とほとんど変わらないため、審美的なことや機能性の高さを考慮してインプラント治療を検討する方が増えてきているのが現状です。
インプラント治療の流れ
インプラント治療の流れは歯科医院によって多少の違いはあるものの、大まかな流れは下記の通りです。
- 初回のカウンセリング(初診)、治療計画と費用の見積もり
- 本格的な検査と診断、治療の説明や契約
- 一次処置(インプラント体の埋入)
- 二次処置(人工歯の土台となるアバットメントの装着)
- 人工歯の装着
- メンテナンス
初回のカウンセリングでは歯科医師からの説明や患者さんの希望を聞くほか、インプラントのメリット・デメリット、治療計画や費用など多くの話があるため、30分~1時間程度の時間を要する歯科医院が多いです。
費用や支払い方法などの相談もできるので、気になることなどがあれば、質問してみましょう。
初回のカウンセリングでは相談のみが可能なため、無理に契約をする必要はありません。また、初回のカウンセリングを無料で行っている歯科医院もあるので、気軽に申し込みができます。
インプラント治療の費用
インプラント治療は基本的に保険適用外の自由診療となるため、その費用は歯科医院によって異なります。ここでは、インプラント1本あたりの平均的な治療費をご紹介します。あくまで参考値としてお読みいただければ幸いです。
一般的に、インプラント1本あたりの治療費は平均して約30~40万円程度となっています。ただし、費用に含まれる内容は歯科医院ごとに異なる場合があります。通常、以下の項目が治療費に含まれていることが多いようです。
インプラント1本あたりの治療費の内訳
- 手術前の検査料や診察料
- 手術費用
- インプラント体
- 人工歯
人工歯の種類によって費用が異なる他、インプラントメーカーの違いでも費用は異なってきます。また、歯科医院によってはメンテナンス費やインプラントの保証費が含まれていることもあるので、見積もりを提示されたら含まれている項目を確認してみましょう。
インプラント治療にかかる期間
インプラント治療にかかる期間はインプラントを埋入する場所で異なりますが、上顎は12ヶ月程度で下顎は6ヶ月程度が平均です。インプラントの手術は早ければ即日、長くても2日程度で終わります。
インプラント治療の期間が長期にわたる理由は、インプラント体と顎骨が結合するまでに3~6ヶ月程度かかるためです。また、むし歯や歯周病がある方はインプラント治療の前に治す必要があるため、さらに治療期間は長くなります。
その他にも、顎の骨量が少ない方は骨量を増やす手術が必要になるなど、インプラントの治療期間は患者さんの状態によって変わってきます。
インプラント治療のリスク
インプラントは口腔外科手術を行う治療のため、リスクが伴います。インプラント治療の主なリスクは下記の通りです。
- インプラント体を顎の骨に埋入するときに周囲にある神経や血管を傷つけて神経麻痺を起こす可能性がある
- 金属アレルギーを起こす可能性がある
- 骨粗しょう症の方はインプラント体と顎骨の結合が難しい場合がある
- インプラント体を埋入するために顎骨にドリルで削ったときに顎骨が火傷する可能性がある
- 手術後は痛みや腫れ、出血を伴うことがある
- 手術時に行う麻酔で気分が悪くなることがある
- インプラント治療の後にメンテンスや日頃のケアを怠るとインプラント周囲炎を患う可能性がある
上記の他にも、心臓疾患や糖尿病などの持病がある方や薬を服用している方はリスクが高くなる可能性があるため、インプラントの治療ができないこともあります。持病がある方は、必ず主治医との相談と歯科医院には持病があることを必ず伝えましょう。
ブリッジ治療とは
ブリッジ治療とは、失った歯の両隣にある歯を使い人工歯を取り付ける治療法です。ブリッジ治療は既存の歯を使うため、しっかりとした歯でなければ上手に治療ができません。
そもそも、失った歯の隣に丈夫な歯があることが前提なので、大部分の歯を失っている方はブリッジ治療が難しいでしょう。
一方で、インプラント治療のように顎の骨を削ったりインプラント体を埋入したりといった口腔外科手術は不要なところがメリットです。手術をしないで失った歯の治療をしたい方や、持病がある方などはブリッジ治療を選ぶのが良いでしょう。
ブリッジ治療の流れ
ブリッジ治療の主な流れは、下記の通りです。
- 初診時の問診や検査
- 土台となる両隣の歯を削って調整する
- 両隣の歯に被せるための歯型を撮る
- 歯型に沿って模型を作製する
- ブリッジを作製する
- ブリッジを装着する
初診では、ブリッジ治療が的確に行えるか歯科医師が口腔内をチェックします。失った歯の両隣の歯が軟弱な場合はしっかりと固定できないため、ブリッジ治療ができないと診断されることもあります。その場合は、インプラントなど他の方法を提案してくれるでしょう。
ブリッジ治療の費用
ブリッジ治療は保険適用と保険適用外の治療があり、保険適用の場合の1本あたりの費用は約2~3万円が平均です。保険適用外の場合の1本あたりの費用は約5~15万円が平均となっており、使用する素材で費用は変わります。
その他に初診時の検査や診察代、型取りや調整代などが必要で、総額で提示してくれる歯科医院もあれば、ブリッジのみの歯科医院もあるので、費用の内訳はしっかり確認しましょう。
ブリッジ治療にかかる期間
ブリッジ治療にかかる期間は口腔内の状態によって異なりますが、おおよそ1~3ヶ月です。むし歯や歯周病などの疾患がある方は、ブリッジ治療の前に処置が必要なため治療期間が長くなります。
といってもインプラント治療に比べると治療期間は短くなるため、一日でも早く失った歯を取り戻したいと思っている方はブリッジ治療を検討してみましょう。
ブリッジ治療のリスク
ブリッジ治療のリスクには、下記のようなことが挙げられます。
- 土台となる歯を削って調整する必要があるため、健康な歯を傷めてしまう可能性がある
- 歯の神経を傷つける可能性があるほか、歯髄炎を患う場合がある
- ブリッジ治療は3個の人工歯が連なっているため歯磨きがしにくく、しっかりとケアをしないと虫歯や歯周病のリスクが高まる
ブリッジの寿命は10年程度と言われており、インプラントに比べて再治療になる確率が高いのもリスクの1つと言えるでしょう。
インプラントとブリッジの併用
インプラントとブリッジは、併用することが可能です。ここではインプラントとブリッジの併用について、下記の3つを解説します。
- インプラントとブリッジの併用ができるケース
- インプラントとブリッジ併用のメリット
- インプラントとブリッジ併用のデメリット
インプラントとブリッジのどちらがいいのか悩んでいる方は、併用することも検討してみましょう。
インプラントとブリッジの併用ができるケース
インプラントとブリッジの併用は、必ずしもすべての方に適用できるわけではありません。併用を検討する際には、適切な口腔内の環境が整っているかどうかを慎重に評価する必要があります。
インプラントとブリッジの併用が可能なケースとしては、主に以下の二つが挙げられます。
- 3本の歯を連続で失った場合は、2本をインプラントにする
- 2本の歯を連続で失った場合は、1本をインプラントにする
2~3本の歯を連続で失ったときに、インプラントとブリッジの併用が可能。一方で併用できないケースは、1本だけ歯を失った場合と4本以上連続して歯を失った場合です。4本以上となるとブリッジへの負担が大きくなり、強度が弱まるためすぐに破損してしまうことが考えられます。インプラントとブリッジの併用は、失った歯が2~3本連続していることが限界値と覚えておきましょう。
インプラントとブリッジ併用のメリット
インプラントとブリッジ併用のメリットには、埋入するインプラント体の本数を少なくできる点とそれに伴い費用を抑えられることです。
例えば、3本連続で歯を失った場合、インプラントのみで治療するとなると3本のインプラント体を埋入しなければいけないため、費用もグッと上がります。
インプラントとブリッジの併用が可能な方は、費用が抑えられるので併用も検討してみましょう。
インプラントとブリッジ併用のデメリット
インプラントとブリッジ併用のデメリットは、ブリッジ治療のみよりもインプラント埋入代が含まれるため費用が高くなる点です。
また、本来は3本の歯で支える場所なのに2本のインプラントで支えなければいけないため、インプラントに負荷がかかるのもデメリット。
インプラントやブリッジに負荷がかかると通常の寿命よりも短くなることが考えられます。このようなデメリットも考慮しながら、併用するのかを考えてみてください。
まとめ
インプラントとブリッジの違いについて解説してきましたが、それぞれにメリット・デメリットがあるため一概にどちらがいいのかの決断がしにくいでしょう。
特に、ブリッジ治療が可能な方はブリッジのみが良いのかインプラントとの併用が良いのか迷うところです。
費用の違いもあるので、自分で決められないときは歯科医院で相談してみましょう。
なお、インプラントの口コミが良い歯科医院を地域別でご紹介しているので、インプラントをもっと詳しく知りたい方や自分に合った歯科医院を見つけたい方は、ぜひ参考にしてください。