インプラントの7つのデメリット|リスクと費用面の注意点を解説
インプラントの概要
インプラントとは、歯が失われた部分に人工歯根(インプラント)を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯冠を取り付ける治療法です。
治療の手順は以下の通りです。
- インプラント体(人工歯根)を顎骨に埋め込む外科的処置
- 数ヶ月待って骨とインプラント体が癒合するのを待つ
- インプラント体に人工歯冠(上部構造物)を取り付け、かみ合わせを調整する
天然歯に近い見た目と機能を得ることができ、咀嚼力を改善します。また、周囲の健康な歯を削る必要がないため、耐久性が高い点も特徴です。
近年、インプラントの技術は進歩し、短期間で治療が完了するケースも増えてきました。歯科医師と相談して適切な治療方法を選びましょう。
ただし、インプラントにはデメリットも少なからず存在し、治療を受ける前に把握しておくことが重要です。次の章から、インプラントの7つのデメリットについて詳しく解説します。
なお、インプラントの全容について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
高額な費用がかかる
インプラント治療は、保険適用外の自由診療となるため、全額が自己負担になります。
治療費は1本あたり30〜50万円程度が相場で、複数本の治療が必要な場合は、総額で100万円以上の費用がかかることも珍しくありません。次に、その理由と実例を見ていきましょう。
保険が適用されず、全額自己負担になる
インプラント治療は、現在の日本の公的医療保険制度では保険適用外とされています。そのため、治療費の全額を自己負担しなければなりません。
インプラント治療には、歯の欠損に対する機能回復を主な目的としつつも、審美性の向上という側面があるためです。
平均して100万円以上の費用が必要
単純に1本のインプラント治療だけでも30〜50万円かかりますが、多くの場合、複数本のインプラントが必要となります。
また、事前の検査や診断、骨の状態によっては骨造成などの追加処置が必要なこともあり、トータルの費用は平均して100万円以上になるケースが多いです。
手術に伴う痛みとリスク
インプラント治療は外科的な手術を伴うため、痛みやリスクが避けられません。手術ができない場合もあり、腫れや痛みといった術後の症状にも注意が必要です。
以下で詳しく解説していきます。
骨の状態によっては手術ができないことがある
インプラントを埋入するためには、あごの骨に十分な厚みと高さが必要です。骨量が不足していたり、骨の密度が低かったりする場合は、インプラント手術自体ができないこともあります。
手術を受けられるかどうかは、事前のCTやレントゲン検査で判断されます。
手術後は腫れや痛みを感じることが多い
インプラント手術後は、患部の腫れや痛みを感じることがほとんどです。個人差はありますが、腫れは3〜4日程度、痛みは1週間ほど続くことが一般的です。
術後の痛みを和らげるには、処方される鎮痛剤を服用したり、冷却パックを当てたりすると良いでしょう。
定期的なメンテナンスが欠かせない
インプラント治療後は、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。自己管理だけでなく、専門医による定期検診を受けることが大切で、怠ると周囲の歯への悪影響も懸念されます。
年に1〜2回程度の定期検診が必要不可欠
インプラントは自分の歯のように感じられますが、天然歯とは異なるため、専門的なケアが必要です。定期検診では、インプラントだけでなく、周囲の歯茎や歯の状態もチェックします。
トラブルの早期発見・早期治療のためにも、年に1〜2回程度の定期的な通院が欠かせません。
メンテナンスを怠ると周囲の歯への悪影響も
定期検診を受けずにメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。これは歯茎に炎症が生じる状態で、進行すると骨の吸収により、インプラントを支える骨が失われてしまいます。
さらに、インプラントが歯茎から出ている部分で歯垢が溜まりやすく、周囲の天然歯にも悪影響を及ぼしかねません。
長期にわたる治療
インプラント治療は、一連の工程を経て完了するため、長期間を要します。仮歯の装着までに数ヶ月、最終的な歯の装着までには半年以上かかるケースもあるのです。
手術から仮歯を装着するまでに3〜6ヶ月
インプラント手術後、骨とインプラントが結合するのを待つ必要があります。この治癒期間は3〜6ヶ月ほどで、その間は応急的に仮歯を装着することになります。しっかりと骨と結合させるためにも、この期間が必要不可欠なのです。
最終的な歯の装着までには半年以上かかることも
仮歯を装着した後、噛み合わせなどを慎重に調整し、最終的な人工歯を作製します。歯茎との調和や発音なども考慮しながら、時間をかけて仕上げていくため、半年から1年近くかかるケースも少なくありません。
患者さんには、治療完了までの長期的な通院が求められます。
審美面に限界がある
インプラントは、機能面では天然歯とほぼ変わりありませんが、見た目の美しさには限界があります。天然歯と比べると見劣りしたり、歯茎の位置によっては目立ちやすくなったりすることがあるのです。
天然の歯と比べると見劣りする場合がある
インプラントの人工歯は、素材や技工の進歩により、天然歯に近づいてきてはいますが、完全に同じ見た目とはなりません。
特に、前歯部のインプラントでは、天然歯との違いが分かりやすいため、審美面での多少の妥協が必要になることもあります。
歯茎が下がると人工歯が目立ちやすくなる
インプラント治療後、加齢などにより歯茎が下がってくると、本来歯茎の中に隠れている部分が露出してきます。
インプラントと天然歯では歯根の形状が異なるため、露出した部分の違いが目立ち、不自然さを感じさせることがあるのです。
噛み合わせた際の音や振動
インプラントは人工物であるため、噛み合わせた際に独特の音や振動を感じることがあります。また、親知らずがある場合は、その影響も考慮しなければなりません。
噛み合わせる際に違和感を感じることがある
インプラントは天然歯とは異なる材質のため、噛み合わせた際の感触や音に違和感を覚えることがあります。特に奥歯の場合、硬いものを噛んだ時にカチカチと音がしたり、僅かな振動を感じたりすることがあるのです。
親知らずへの影響も考慮しなければならない
親知らずが生えている場合、インプラントとの干渉が問題となることがあります。親知らずの状態によっては、インプラント治療前に親知らずを抜歯しなければならないこともあります。
インプラント治療を行う際は、親知らずの状態も考慮に入れる必要があるでしょう。
金属アレルギーの可能性
インプラントに使用されている金属によっては、アレルギー反応が起こる可能性があります。治療前のアレルギー検査が不可欠で、材質の選択にも注意が必要です。
使用する金属によってアレルギー反応が出ることがある
インプラントの素材には、チタンやチタン合金が主に用いられていますが、ごく稀に金属アレルギーを引き起こすことがあります。
金属アレルギーが出ると、インプラント周囲の歯茎が赤く腫れたり、湿疹ができたりします。重症化すると、インプラントを撤去しなければならなくなります。
手術前にアレルギーのパッチテストを受ける必要性
金属アレルギーになる可能性があることから、インプラント治療を受ける際は、事前にパッチテストを受けましょう。
パッチテストでは、使用予定の金属を皮膚に貼り付け、アレルギー反応が出ないかを確認します。もしアレルギーが判明した場合は、別の材質を選択することになります。
まとめ
インプラント治療は、失った歯の機能を回復させる優れた治療法ですが、一方でデメリットも存在します。
高額な費用、手術の痛みやリスク、定期的なメンテナンスの必要性、長期の治療期間、審美面の限界、噛み合わせ時の違和感、金属アレルギーの可能性など、様々な側面から総合的に判断することが大切です。
デメリットを理解した上で、自分に合った治療法を選択することが、インプラント治療を成功させるカギとなります。
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